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短期研修「歯科口腔保健の推進のための企画・運営・評価研修(歯科口腔保健研修)」を平成26722日から725日までの4日間で開催しました。受講者は35名で、自治体に勤務する歯科専門職33名(歯科医師7名、歯科衛生士26名)と保健師2名に参加いただきました。本研修では、対象者を歯科専門職に限らず、自治体で歯科口腔保健事業に従事するすべての専門職としています。

この歯科口腔保健研修は、平成247月に厚労大臣より告示された「歯科口腔保健の推進のための基本的事項」にて定められた国としての人材育成と密接な関連性を有するものであり、自治体に勤務する歯科専門職や歯科口腔保健事業に関係する保健師や行政栄養士における事業の企画立案、運営ならびにその評価を行うための能力の向上を図ることを目標としています。 

そのため、PDCAサイクルマネジメントに基づく歯科口腔保健活動を実施できるように、地域診断、多職種連携のための関係者分析、調査設計と評価のための統計解析、地域連携のための自治体の実践報告という要素を新たに加え、グループワークでの討議にうまくつなげるような工夫をしました。おかげ様で、平成26年度の本研修の満足度については約95%の受講生が満足しているという大変高い評価を頂戴することができました。特に、自治体の実践報告は、「歯科口腔保健の推進に関する法律(歯科口腔保健法)」で新たに定められた口腔保健センターを活用した地域連携について、佐賀県と京都市から先駆的事例のご報告をいただくことで、都道府県と政令市のそれぞれの立場での先駆的取り組みを学ぶことができたと大変好評でした。

4日間という短い研修期間でしたが、グループワークを通じて、各々の地域で抱える課題について胸襟を開いて討議する場を設けることができたようです。 

平成27年度の研修も、本年度と同時期に行う予定です。受講者の皆様が、派遣元の自治体で今回の研修を活用し、歯科口腔保健事業の推進に役立ていただくことを切望しております。本年度の研修成果を活かして、次年度の研修もより良い内容になるように引き続き努めて参ります。

(研修主任 三浦宏子)

地域医療連携マネジメント研修は267711日の5日間にわたって実施されました。運悪く台風が近づいてきて後半は天気予報に神経をとがらせる状況になりましたが幸い無事予定通り終了することができました。

本研修は,疾患別の医療機関間の連携ならびに医療と介護,施設と在宅とを連携する地域包括ケアの促進を目的に,全国の主に地域医療の中核的病院の従事者を対象に実施しています。定員はPC演習室の定員から40名となっています。

コースは講義とグループワークに加えて,PC室でのIT演習もふんだんにもりこんでいます。IT演習の特徴は,個々の医療機関のDPC件数や施設基準の情報を自ら分析活用してもらう点にあります。A県やB市のデータではなく,ずばり(自院も含めて)〇〇病院はどのような疾患の入院患者を何人受け入れているか,どういう施設基準(たとえば地域包括ケア病棟の施設基準をとっているか等)を有しているか,のデータをみていただきます。いうまでもなく自院の周辺の病院や診療所がどのような機能を有しているか,は効果的な地域医療連携の第一歩だからです。

そのためにコース担当者の手作り教材を配布して使用します。全国10万の病院,診療所は合計50万を超える各種施設基準を有しており,その内容は地方厚生局のサイトに掲載されています。それら公開データを加工し,所在地の緯度・経度情報からGoogle Mapに表示させる機能も作成しました。演習ではそれらデータを自ら活用し,たとえば自院の周辺で地域包括ケア病棟を有する病院や,疾患別クリティカルパスに参加している診療所を地図上に表示してもらう他,データは持ち帰ってもらって自院での地域医療連携のための戦略に活用してもらっています。

またDPC(診断群分類による包括払い方式)データも約1500病院の疾患別の詳細なデータが公表されているので,たとえば疾患別の症例数,退院後の転帰,実施している手術の種類別数といったものをExcelのピボットテーブルを使って自在に抽出する等のことを体験します。

本研修で使うデータは全て公開されたものばかりですが,これだけ豊富なデータがネット上で誰でもみられることに受講者の中には驚きを感じた方もおられました。公開されたデータを有効に活用することによって地域医療連携は効果的に進めることができる,ことをモットーに27年度も7610日に実施する予定です。

(コース主任,岡本悦司)

本研修は、地方衛生研究所、保健所、水道事業体等の公的機関において、水道原水等のクリプトスポリジウム試験に携わっている方、または今後携わる可能性がある方を対象として、水中に存在するクリプトスポリジウムを検出するための試験方法、ならびに、水道のクリプトスポリジウム対策に関する専門知識の習得を目的として実施しております。

クリプトスポリジウムは、ヒトに加えてウシやブタなどにも感染する、人畜共通感染症の原因となる病原性の原虫です。主に飲食物を介してヒトに感染、強い下痢を主な症状とし、悪心、吐気、発熱を伴う場合があります。健常者であれば、おおよそ1週間以内には快復しますが、年齢や患者の免疫状態により重篤度は異なっており、重度の免疫不全患者には致命的となる場合もあります。 

厄介なことに、クリプトスポリジウムは塩素に対して強い耐性を持つため、わが国の水道で必ず用いられる塩素消毒では、ほとんど不活化が期待できません。従って、他の浄水処理のプロセス(凝集沈殿、砂ろ過、膜ろ過、紫外線処理など)による除去や不活化が欠かせず、水道にとって極めて重要な病原体として位置づけられています。水道水を原因とする集団感染の事例として、平成5年には米国ミルウォーキーにて40万人以上の罹患者が発生、死者も確認されました。また、平成8年には埼玉県越生町にて8,812人の罹患者が発生し、これを契機として、本研修が実施されることとなりました。

さて、本研修の特色として、10日間の研修期間中のうち7日間以上を、クリプトスポリジウム検査技術の習得に向けた実習に充てている点が挙げられます。本研修の副主任でもある国立感染症研究所寄生動物部の先生方や、検査の実務経験が豊かな外来講師の先生方を中心として、受講生に対して熱心な技術指導を行っております。研修期間を通じて、試料の濃縮、精製、顕微鏡観察、判定に至る一連の操作を繰り返し行い、さらに、受講生への個別の口頭試問や、観察写真の講評を実施することで、短期間での検査技能の向上と定着を図っております。

また、クリプトスポリジウムの公定検査法に関する近年の動向として、従来の顕微鏡観察に加えて、平成24年度より遺伝子検査が追加されました。当研修でも、従前から座学講義に遺伝子検査の解説を入れておりましたが、これをふまえて、平成23年度より定量的PCR法による遺伝子検査を実習の中にも盛り込みました。

以上の取り組みにより、例年、本研修に対しては受講の希望が多く、受講生の皆様方からも総じて高い評価をいただいております。平成25年度は23名が受講され、全員が口頭試問に合格、修了証を授与されました。

なお、平成26年度より、本研修の開催期間は冬季から夏季に変更されております。平成26年度の開催は630日~711日、受付期間は41日~430日となります。受講をご検討いただく際には、ご留意のほどよろしくお願い申し上げます。

研修副主任:島﨑 大(生活環境研究部)

短期研修「食品衛生危機管理研修」を120日~27日までの3週間で開催しました。受講者は49名で、各地方自治体、地方厚生局、検疫所から参加いただきました。 

研修では、広域化する食中毒や感染症と同じように少量の病原体で発症する食中毒に対応するため、疫学演習や遺伝子解析でのネットワークに関する講義等を行いました。

食品は全国的、全世界的に流通しており、その安全確保も、広域の流通に合わせた対策が求められています。一方、行政単位は住民への対応に適したサイズになっているため、食品安全のためには行政単位を超えたネットワーク作りが欠かせないものとなっています。

この研修では、課題研究という研修生が自ら日常業務での疑問点・問題点を持ちより、グループワークにより解決の方策を検討し、発表、討論を行ったり、疫学演習等でもグループでの検討を多く取り入れたり、ネットワーク作りが進むように多少の配慮をしております。しかし、今回の研修で特筆すべきことは、研修生が入寮者を中心に食事の提供等による緩やかな繋がりのコミュニティを形成し、研修生間の繋がりが非常に強くなったことだと思います。これは自治体の人員の削減等から教育・訓練や新たな方策の検討等を行うことに困難を感じている研修生が、自ら必要を感じてネットワーク作りを行った結果だと思われ、私には非常に頼もしく感じられました。

自治体の枠を超えたネットワーク作りの必要は理解され、情報をやり取りするためのツールは整備されていても、やはり個人個人の繋がりがなければ動かすことはできないので、研修生には科学院での研修を通じて、研修内容以上の成果を得て頂ければと願っております。

(研修主任:温泉川肇彦)

「健康日本21(第二次)推進のための栄養・食生活の施策の企画・調整に関する研修」を前期:平成25624日から28日、遠隔研修、後期:平成2625日から7日まで開催いたしました。受講生は34名でした。

「健康日本21(第二次)」では、都道府県等においては最終目標である健康寿命の延伸と健康格差の縮小のために,住民の健康に関する各種指標を活用しつつ、地域の社会資源等の実情をふまえ、健康増進事業の関係者との連携促進のため方策について議論を行い、その結果を施策、事業に反映させる必要があること、効果的に推進する体制の整備が重要であることが明記されています。特に、栄養・食生活においては、目標達成には各領域の施策との関係分析および連携による実施、そのための体制づくりを進めることが重要な鍵となります。

そこで、研修では、健康日本21(第二次)の自治体における健康増進計画の栄養・食生活の目標達成のために、地域の実態を把握し、課題を改善するために具体的で有効な各領域の横断型施策と体制づくりを関係者と調整し実行することができることを目標としました。

新たな研修カリキュラムであり試行的要素もあったため、講師陣と受講生が協働で成果をつくりあげていきました。前半の研修では、がん対策健康増進課の栄養指導室、健康日本21(第二次)委員により行政栄養士の業務指針に基づき研修のねらいを明確にするための講義を行った後に、自治体の行政栄養士による事例を紹介し、その事例もふまえ、既存データを活用して健康課題と栄養・食生活の課題の関連性について分析、明確化し、体制整備の方向性についてのディスカッションを行いました。遠隔研修期間中には、受講生が自らの自治体の課題分析を行ったり関係者と検討を行いました。

 研修終了後の受講生の感想として、以下のようなものがありました。(一部抜粋)

・研修でおこなったことほぼすべてを今後の業務に生かせると思っています。

・既存データを用いて課題を分析した時は、今まで見えなかった県民の健康課題と栄養・食生活の課題のつながりがみえて、とても興味深い作業でした。

・健康づくりのための調査には仮説をもって実施することで施策の推進にむすびつく、と思いました。

・自身の自治体から他の自治体にむけて情報発信できるようになりたいです。

 

来年度以降も、今年度の研修成果をいかして、より良い内容になるよう努めてまいります。

 

本研修は、行政保健師等を対象に、関連する諸制度の動向や、専門職に求められる役割を理解し、地域特性に応じた保健活動の企画・実施・評価ができる実践能力の習得をめざすことを目的としています。
 今年度は46名の方が5日間の研修を修了されました。

 研修プログラムは、
厚生労働省からの難病対策の改革や、障がい者支援法などを含めた国の制度や動向の説明、難病の治療や研究の第一人者である外部講師による、最新の治療や診断、遺伝カウンセリング、病院・地域連携、難病相談支援センターの役割と連携、在宅療養者の環境整備などについて講義を行っていただきました。

また、地域診断から、地域ケアシステム構築のための企画立案演習も行いました。盛りだくさんのメニューでしたが、講師陣とフロアでは活発なディスカッションが行われました。


講生の感想(一部抜粋)

「難病対策については、紙面からだけではわからない部分を直接うかがうことで理解が深まり、日々の保健活動を考え直す良い機会になりました。」

「全国の保健師と地域の課題の共有やディスカッションをすることで、自分の地域の課題について再確認し、解決へ向けたヒントがたくさん得られました。」

「所内では難病対策は優先度が低いと言われることが多く担当者として悩んでいたが、研修の受講により支援の基本に立ち返ることができ、モチベーションがアップしました。」


 本年
1月に示された難病対策の改革の提言には、保健所を中心とした地域支援ネットワーク構築の役割が期待され、より専門性の高い保健師の人材育成が求められております。今後も難病患者さんや家族、地域のニーズに応じた保健活動の推進者となり得るよう、研修プログラムのさらなる充実を図りたいと考えております。

次年度以降も、多くの自治体の難病担当者の研修へのご参加を待ちしております。

最後になりましたが、本研修には様々な関係者、専門の諸先生方から多大なご支援・ご協力を賜りました。

この場をお借りしてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 研修主任:奥田博子(生涯健康研究部)

短期研修「特定疾患医療従事者研修(難病相談・支援センター職員研修)」を1078日の2日間で開催いたしました。受講者は19名でした。

難病相談・支援センターでは、特定疾患患者および家族に対し、療養生活・就労等多岐にわたる相談・支援を行っています。したがって、単に難病に関する基礎知識だけでなく、就労支援のための制度に関する知識や相談スキルなどについて幅広く身につけていることが求められます。そこで本研修では、(1)難病対策の新しい動向と課題、(2)相談・援助の技術、(3)特定疾患患者の就労や職業生活における課題・ネットワークを効果的に活用した支援、(4)相談・支援を的確にすすめていくマネジメントスキル、を4本の柱として、研修プログラムを組んでいます。

研修の中では、新たに開発された電子記録票システムについて、実際にPCを操作しながら活用方法を学習する機会を設けました。単に記録を残すだけでなく、他の自治体の相談記録を閲覧・活用したり、登録された情報をもとに全体的な相談の傾向を把握することも可能になります。これによって、今まで十分に活かされていなかった各都道府県のセンター間のヨコのつながりが活性化していくことが期待されています。

また、就労支援に関する研修科目では、現在地域で活用できる就労支援のための制度についての講義や、雇用する側(企業側)の新たな取り組みについての講義を組み合わせたうえで、一つの事例について検討しながら効果的な多機関連携のあり方について考えるグループワークを行いました。

難病には様々な種類があり、また、同じ疾患でも患者・家族が抱える問題は多種多様です。それだけに、相談支援に従事する難病相談・支援センターの職員には、幅広い知識・スキルに加えて、一人ひとりの相談者に寄り添う姿勢が不可欠です。講義とグループワークとを取り入れた2日間の本研修が、日々の相談支援の実践のますますの質の向上につながるよう、今後も研修内容に充実に努めてまいります。

(研修主任 松繁卓哉)

短期研修「住まいと健康研修」を6月3日から3週間にわたって実施いたしました。受講者は19名でした。

 住まいは住民の生活の基盤であり、健康に関わる重要な要素であると認識されていますが、生活衛生行政の中ではあまり積極的に取り組まれていないのが実情です。このため、科学院では、「建築物衛生研修」と隔年で、「住まいと健康研修」を開講しています。

 住まいの問題に取り組むためには非常に幅広い知識と総合的な視点が必要であると同時に、住まいの実質的な管理者である住民に対してわかりやすく伝達したり啓発したりする技術が求められます。本研修では、「住環境が健康に及ぼす影響を理解し、住民が健康に住むための技術支援を行うことができるようになる」ために、①住まいと健康に関する最新の技術的知識や対応技術を修得し、②住民に対する住環境教育や自治体における事業展開に応用する能力を獲得する、ことを目標としています。

 本研修は、講義と演習・見学で構成されています。講義では、化学物質を含む空気質、ダニや衛生害虫、カビ・微生物、温熱環境、水などが及ぼす健康影響とその対策、住宅に関する法制度のほか、今年度は、光・照明、電磁波、災害時の環境衛生管理の問題も取り上げました。見学では、集合住宅と戸建て住宅のそれぞれの構造・設備や新しい潮流について、実物を見ながら事業者の説明を受ける機会を設けました。演習では、グループワークをとおして、地域の健康問題をいかに把握し事業化していくか検討し、その事業を実施するうえで必要な教育媒体(講習会用の教材や職員向けのマニュアルなど)の作成に取り組みました。教育媒体の作成においては、参加型の保健教育の手法をできるだけ取り入れるような試みも行いました。受講生のみなさまが、派遣元でこれらの教育媒体を積極的に活用し、住まいと健康に関する事業に取り組んでいただけることを切に期待しています。

 (研修主任 阪東美智子)

今年度の研修では、どれだけ研修で学べたかを評価するために、集合研修の最終日に今後、改正されることが見込まれている通知案で示されているX線施設の遮へい計算を集合研修の初日の実習で使った設定に基づき、実際に行って頂きました。
研修の成果を発揮し、研修生の皆さんには最後まで式を追って頂くことができました。


<研修生からの感想>
昨年の研修の際,研修前は自分の知識でついていけるのかすごく不安だったのですが,仲間に恵まれてなんとか研修を終えることができました。各講義すべてが重要な項目ばかりであっというまの5日間でした。5日間はけっして長くないと今でも感じています。しかし,まだまだ自分自身足りない部分が山積みですのでこれからも勉強しないといけないと思っています。今回の研修では他の自治体の同職種の人と情報交換できたのがなによりの収穫でした。他の自治体のやり方・考え方を聞くことができて参考になりました。私は,他の多くの研修生のようにずっと行政というわけではないと思いますが,また機会があれば是非参加したいと思います。
(高松市保健所 富永孝志)

「医事業務に10年ぶりに戻って1年半で不安も大きい研修でしたが、医療監視業務について、考え方の整理をすることができました。また、全国から集まった研修生と情報交換ができ、研修のなかで個別事例の詳細な考え方を聞いて大変参考になりましたし、楽しかったです。個人的にはアイソトープ協会の講師から障害防止法の話を聞けたことも、大きなことでした。ありがとうございました。」
(八尾保健所 寺田恭子)

<研修へのご応募をお待ちしています>
平成25年度は遠隔研修で実施する予定です。
医療機関への立ち入り検査の業務などで放射線安全を確認される方や医療機関で放射線安全も担当されている方や放射線安全にご興味をお持ちの方のご応募をお待ちしております。
また、平成25年度は放射線に関しては、地域での原発事故対応を扱った集合研修を企画しています。
関係する方々のご応募をお待ちしております。


<これまでの研修での事例研究の成果をまとめたサイト>
http://trustrad.sixcore.jp/qa/


<関連記事>
http://niph-doso.gr.jp/blog/2010/11/22.html
http://niph-doso.gr.jp/blog/2007/08/post-9.html
http://niph-doso.gr.jp/blog/2007/12/post-16.html

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(研修主任:山口一郎)

短期研修「ユニットケアに関する研修」を開催しました。第1回「施設整備担当者向け」(5月9日~11日)は63名、第2回「サービスマネジメント担当者向け」(6月13日~15日)は76名の参加をいただきました。


本研修は、介護保険施設の整備・サービスの質向上にむけユニット型施設の普及を推進するという、厚生労働省の介護施設に関する基本的な政策方針に対応するものとなっています。ユニット型施設は、入居者一人ひとりの個性や生活リズムを大切にするユニットケアを実施する施設です。こうしたケアを実現するためには、職員の意識のみならず、施設の間取りや空間構成といったハード面の整備と、そこでのケアの提供とマネジメントというソフト面での充実が、両輪となる必要があります。こうしたことから、本院のユニットケア研修でも、自治体がユニット型施設の建設前の段階から施設整備に適切な助言指導を行うためのコース、建設された施設においてサービスマネジメントに適切な助言指導を行うためのコースを開設しています。


研修では、実際の施設の図面や写真等の視覚的な資料を併用しながら、ユニットケアの理念・生活像・建物・運営に関する理解を深めていきます。行政職員の事業者への助言指導が求められるという立場をふまえ、実際に施設の図面を検討する場面、または、施設に実地調査を行う場面で、どのような助言指導を行っていけるのか、ロールプレイ演習で実践的な内容にも取り組んでいます。


研修参加者の方は、職場に戻ればすぐに、実際の図面検討や訪問先での助言指導を行うことになるため、いずれの講義においても、それぞれが問題意識をもって真剣に参加され、講師の先生方との活発な質疑応答なども見られました。


包括的なケアの実現が、今後の介護行政の基本的な方向性です。それにともなって、住まいや施設の在り方、位置づけについても新しい考え方が出てきています。そのなかで、ユニット型施設をどのように地域のケア資源として位置づけていくのか、国や各自治体に問われている段階です。本研修も、こうした最新の介護政策・行政やケア手法に関する知見を踏まえながら、質の高いケアが地域で展開されるための一助となるよう、さらなる充実を目指したいと思います。

(医療・福祉サービス研究部:森川美絵、生活環境研究部:小菅 瑠香)

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