研修: 2008年3月アーカイブ

BTH32_1B.jpg 本コースは、平成18年度より開講した新しいコースです。本コースは、衛研や保健所の職員を主な対象にして、職場で温めている研究シーズを研究計画書として纏め、研究計画を実行し、研究論文の完成までの過程を支援する事を狙っています。受講者は、8月と3月に1週ずつのスクーリングを行い、後の期間(次年度に繰り越しての指導もある)は、2名のチューターとメールでやり取りしながら作業を進めます。研究計画の段階では、研究グラントの審査官や疫学倫理審査の審査官の立場からコメントを出し、論文を纏める段階では、論文査読者の立場からコメントを出しています。スクーリングでは、大学の研究室で先輩の研究指導を受けながら研究を展開し、まとめていく過程をなぞらえています。 BTH32_2B.jpg 疫学分野の対象者は、他の短期研修「疫学統計研修」「保健情報処理技術研修」「保健医療情報の評価・利用研修」などを終了した方など、一定の疫学統計的素養を備えている事が望ましいです。衛生科学分野の対象者は、基本的な分析機器の扱いは出来るが、最新の技術的サポートを必要としている、あるいは、実験の精度を高めたい方を対象としています。チューターには、科学院だけでなく、専門性に応じて感染研や国衛研の研究者にもなっていただいています。講義や討論は、全て疫学と衛生科学の応募者全員が参加する形式で行われており、コースを受講することにより、実験系と疫学系の幅広い知識がつくと自負しています。(写真は、平成19年度の卒業時の写真、受講生とチューターの先生方) 生活環境部 鈴木 元
BTH31_1B.jpg 特定研修「水道クリプトスポリジウム試験法実習」が2月12日~22日に実施されました(受講生23名)。 本研修は、地方衛生研究所、保健所、水道事業体等において水道原水等のクリプトスポリジウム試験に携わっている方又は今後携わる可能性のある方を対象として、水中に存在するクリプトスポリジウムオーシストを検出するための試験方法及び水道クリプトスポリジウム対策に関する専門知識の習得を目的に実施しています。といいましても、このトピックスをご覧になっている方で、クリプトスポリジウムをご存じない方が大半だと思いますので、簡単にご説明します。クリプトスポリジウムはヒトやウシ、ブタなどのほ乳動物の小腸に寄生する原虫です。水や食べ物を介してヒトに感染し、下痢、腹痛、吐き気や嘔吐などの症状がでます。健康な方であれば、症状は4日~7日程度でなくなります。長い場合は2週間ほどつづく場合もありますが、生命に関わる病気ではありません。平成8年6月には、我が国で初めて水道水を起因するクリプトスポリジウムによる集団感染症が埼玉県越生町で発生しました。この集団感染の発生を契機として、本研修も開講することになりました。国のクリプトスポリジウム対策の動向としては、昨年4月に従来の「水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針」が廃止され、「水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針」が適用されることになりました。今回の研修では、この新しい対策指針を策定するにあたっての見直し点等を講義の中に盛り込みました。特に、浄水施設における対応として、原水のクリプトスポリジウム汚染の程度にしたがって紫外線処理設備の導入が可能となったことから、紫外線処理のご専門の先生に講義をしていただきました。 BTH31_2B.jpg  本研修では何といっても、副主任を務め、実習(後半7日間)をご担当される国立感染症研究所寄生動物部の先生方、外来講師の方々のお人柄と熟練した教え方にあります。実習は、今回受講生が23名でしたので、4つに班分けをし、各班には講師が最低1人つき、クリプトスポリジウム検出にあたっての一連の操作を手取り足取り教えます。毎年、数人顕微鏡を操作したことない方が受講しますが、研修の終わりのころには何とかクリプトスポリジウムを検出できるまでになります。今回も受講生の皆様からは本研修に対して、高い評価をいただきました。 さいごになりましたが、派遣元に帰られた受講生の皆様、同窓会会員の皆様のますますのご健勝とご活躍を、研修担当一同心からお祈り申し上げます。 研修主任:秋葉道宏(水道工学部)

このアーカイブについて

このページには、2008年3月以降に書かれたブログ記事のうち研修カテゴリに属しているものが含まれています。

前のアーカイブは研修: 2008年2月です。

次のアーカイブは研修: 2008年4月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。