短期研修「食品衛生危機管理研修」を1月20日~2月7日までの3週間で開催しました。受講者は49名で、各地方自治体、地方厚生局、検疫所から参加いただきました。
研修では、広域化する食中毒や感染症と同じように少量の病原体で発症する食中毒に対応するため、疫学演習や遺伝子解析でのネットワークに関する講義等を行いました。
食品は全国的、全世界的に流通しており、その安全確保も、広域の流通に合わせた対策が求められています。一方、行政単位は住民への対応に適したサイズになっているため、食品安全のためには行政単位を超えたネットワーク作りが欠かせないものとなっています。
この研修では、課題研究という研修生が自ら日常業務での疑問点・問題点を持ちより、グループワークにより解決の方策を検討し、発表、討論を行ったり、疫学演習等でもグループでの検討を多く取り入れたり、ネットワーク作りが進むように多少の配慮をしております。しかし、今回の研修で特筆すべきことは、研修生が入寮者を中心に食事の提供等による緩やかな繋がりのコミュニティを形成し、研修生間の繋がりが非常に強くなったことだと思います。これは自治体の人員の削減等から教育・訓練や新たな方策の検討等を行うことに困難を感じている研修生が、自ら必要を感じてネットワーク作りを行った結果だと思われ、私には非常に頼もしく感じられました。
自治体の枠を超えたネットワーク作りの必要は理解され、情報をやり取りするためのツールは整備されていても、やはり個人個人の繋がりがなければ動かすことはできないので、研修生には科学院での研修を通じて、研修内容以上の成果を得て頂ければと願っております。
(研修主任:温泉川肇彦)
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