地域医療連携マネジメント研修は26年7月7~11日の5日間にわたって実施されました。運悪く台風が近づいてきて後半は天気予報に神経をとがらせる状況になりましたが幸い無事予定通り終了することができました。
本研修は,疾患別の医療機関間の連携ならびに医療と介護,施設と在宅とを連携する地域包括ケアの促進を目的に,全国の主に地域医療の中核的病院の従事者を対象に実施しています。定員はPC演習室の定員から40名となっています。
コースは講義とグループワークに加えて,PC室でのIT演習もふんだんにもりこんでいます。IT演習の特徴は,個々の医療機関のDPC件数や施設基準の情報を自ら分析活用してもらう点にあります。A県やB市のデータではなく,ずばり(自院も含めて)〇〇病院はどのような疾患の入院患者を何人受け入れているか,どういう施設基準(たとえば地域包括ケア病棟の施設基準をとっているか等)を有しているか,のデータをみていただきます。いうまでもなく自院の周辺の病院や診療所がどのような機能を有しているか,は効果的な地域医療連携の第一歩だからです。
そのためにコース担当者の手作り教材を配布して使用します。全国10万の病院,診療所は合計50万を超える各種施設基準を有しており,その内容は地方厚生局のサイトに掲載されています。それら公開データを加工し,所在地の緯度・経度情報からGoogle Mapに表示させる機能も作成しました。演習ではそれらデータを自ら活用し,たとえば自院の周辺で地域包括ケア病棟を有する病院や,疾患別クリティカルパスに参加している診療所を地図上に表示してもらう他,データは持ち帰ってもらって自院での地域医療連携のための戦略に活用してもらっています。
またDPC(診断群分類による包括払い方式)データも約1500病院の疾患別の詳細なデータが公表されているので,たとえば疾患別の症例数,退院後の転帰,実施している手術の種類別数といったものをExcelのピボットテーブルを使って自在に抽出する等のことを体験します。
本研修で使うデータは全て公開されたものばかりですが,これだけ豊富なデータがネット上で誰でもみられることに受講者の中には驚きを感じた方もおられました。公開されたデータを有効に活用することによって地域医療連携は効果的に進めることができる,ことをモットーに27年度も7月6~10日に実施する予定です。
(コース主任,岡本悦司)
コメントする