2008年2月アーカイブ

海外合同臨地訓練

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BTH30_1B.jpg 国立保健医療科学院専門課程「国際保健分野」の研修期間が1年間となってから今年度で4年目を迎えている。このコースの授業、演習は、英語で行われている。合同臨地訓練(合臨)は「国際保健分野」のひとつの科目であり、2005年までは国内で行われていた。しかしながら、国内で英語をコミュニケ-ションの手段としたフィ-ルドの確保が困難になり、2006年からは、フィリピン大学公衆衛生大学院の協力のもとフィリピンで合臨が実施されている。  海外合臨は、ひとつのチームとして国際保健分野の人材に必要とされる資質の向上に資することを目的としている。この合臨の学習獲得目標の領域を①チ-ムによる学習、②プロセス指向、③ファシリテ-ション技術、④チ-ムワ-クの醸成、⑤リ-ダ-シップの発揮、⑥コミュニケ-ション技術としている。 BTH30_2B.jpg 海外合臨は、日本人も含め異なった国と職種の研修生から構成されたチ-ムによる問題指向型学習のアプロ-チを用いて実施されている。今年度のチ-ムの到達目標は、「フィリピン国二都市の保健局における助産師の訓練ニ-ズについて」という課題を設定し、この課題について現地で調査を行い調査報告書をまとめることである。そして、これらの調査結果と提言に基づきCHO(City Health Office)の関係者と研修生の間で情報の共有と意見交換を行う報告会を催すことであった。 このプログラムは、国内での準備期間(2週間)とフィリピンにおける臨地実習(2週間)の合計4週間となっている。国内での準備期間においては、海外合同臨地訓練の経緯と目的について研修生に説明し、特に、上記に掲げた学習目標を獲得するため合臨への積極的な参加を促している。また、この合臨の成果品である報告書の作成とその結果と提言に基づく報告会の開催と同時に、海外合臨を通して問題解決に至るプロセスを重視している。このことにより、「何を」という目的ばかりでなく、「どのように」というプロセスを学ぶことで将来遭遇するだろう同様な問題を解決するのに役立つことが期待できると思われる。また、実践的な問題解決に至るプロセスの思考とチ-ムとして目的を達成するための解を選択するプロセスを学習する機会が提供できているのではないかと考える。 人材育成部 綿引信義
BTH29_2B.jpg かつて1年以上白金台で過ごした方なら、「ごうりん」という音は懐かしいのではないでしょうか。旧公衆衛生院の時代から、専門課程あるいは専攻課程のカリキュラムにあった「合同臨地訓練」は、いまでもその名前で、専門課程の特定の分野では主要なカリキュラムの一つに位置づけられています。 専門分野の異なる人たちがチームを編成し(合同)、地域に出かけて(臨地)、公衆衛生上の実際問題に主体的にかかわり、目標達成に向けたアプローチの方法を獲得しようとするものです。現地(フィールド)の意向を考慮しながら、目標設定や問題発見から問題解決に至るプロセスのなかでどの部分に関わるかを位置づけ、具体的に何に取り組むかをチームで決め、最終的にそれにふさわしい報告書を作成しようとするものです。  およそのテーマとフィールド(現地協力・指導機関)は事前に科学院のスタッフが用意しますが、その後、具体的に何をやるかは専門課程の受講者が主体的に決めていきます。7月中旬にチームが編成され、フィールドと課題について概況が把握され、夏休み明けの9月から準備をし、10月からの5週間(フィリピンで実施されるものは2週間)はフルタイムで現地調査、集計・分析、現地中間報告、まとめ(報告書作成)、と駆け抜けます。 以前に比較すると、時間の使い方はうまくなり、合理的に進めることが多くなったような気がしますが、それでも方向性や到達目標に関する議論では今でも白熱します。この熱い議論を通じて、修了後も貴重なネットワークが形成されているようです。  最近の課題を下にご紹介しますが、「合臨」を必修とする分野の受講者数が減少しており、チーム数も少数、「多分野」専門職によるチーム編成も難しくなっています。 公衆衛生関連の現場で仕事をされている皆さま、今度はフィールドとして科学院の「合臨」を支援していただけませんか。日頃抱えている課題を、「合臨」のプログラムを通じて、一緒に考えてみるのもよいかもしれません。ぜひご連絡ください。 BTH29_1B.jpg 平成17年度(3課題、内1つは国際保健分野) *ホームレス地域生活移行支援事業における健康に焦点を当てた生活支援に関する取組み *「患者の声」を地域医療の質の向上に反映させるために *さいたま市在住のフィリピン人既婚女性が直面している問題 平成18年度(2課題、内1つは国際保健分野) *都内医療機関における医療廃棄物処理の実態調査-医療廃棄物の適正処理のために- *フィリピン国の第1次保健医療施設における人的資源に関する課題について 平成19年度(2課題、内1つは国際保健分野) *生活保護を受けている一人暮らし高齢者の社会との関わりの現状と支援に関する一考察 *フィリピン国2都市の保健局における助産婦の訓練ニーズについて (合同臨地訓練運営委員会 鈴木晃)
BTH28_1B.jpg 1月31日(木)午後と2月1日(金)午前に第21回公衆衛生情報研究協議会総会・研究会を科学院別館棟5階講堂で開催致しました。 この協議会は全国の地方衛生研究所の研究集会という位置づけで国立公衆衛生院時代に設立され、設立以来国立公衆衛生院・国立保健医療科学院が事務局を勤め、代々院長が会長、各機関が会員となっています。研究会は従来全国各地の持ち回りで年1回開催されていましたが、今回の第21回からは隔年で国立保健医療科学院を開催地とすることになったものです。 BTH28_2B.jpg 1日目は特別講演として弁護士でもある慶應義塾大学安冨潔教授に「地域健康危機管理と個人情報保護」という演題でお話し頂き、国立感染症研究所感染症情報センター谷口清州第一室長には特別報告「健康危機のEarly detection」をお話し頂きました。その後、シンポジウム「地方衛生研究所の疫学機能強化(検体解析と疫学の連携)」を科学院内外の先生方5人と座長2人で実施致しました。参加者は119名でした。 BTH28_3B.jpg 2日目は一般演題が13題で、そのうち地方感染症情報センターの取り組みの演題が7題、各地方衛生研究所等の個別演題が6題でした。いずれも興味深い演題で、質疑応答も活発に行われました。 第21回研究会長:土井 徹(研究情報センター長)
BTH27_1B.jpg 平成20年2月1日(金)13:30より、国立保健医療科学院・交流対応大会議室において、同窓会と科学院の共催による第1回保健医療科学研究会が開催されました。篠崎院長の開会挨拶、および長谷川幸子同窓会副会長の挨拶をいただいた後、「健康危機管理」、「生活習慣病対策」、「医療情報・マネジメント」、「暮らしと健康」、および「その他」のテーマで、研究発表が実施されました。演題は全18題(科学院の職員9題、科学院外の同窓会会員の方9題)がエントリーされ、各セッション3~4題とバランス良く、演者から発表後に活発な質疑応答が展開されました。 BTH27_2B.jpg 「健康危機管理」では、病院の地震対策、麻疹ワクチン、健康危機管理システムに関して、「生活習慣病対策」では、レセプト調査、食育活動、メタボリックシンドローム予防、食生活改善推進員に関して、「医療情報・マネジメント」では、医療費推計、トップマネジメント研修、保健医療情報、医療安全管理活動に関して、「暮らしと健康」では、スギ・ヒノキ花粉、水道と病原微生物、動物用医薬品と食品に関して、「その他」では、双子の出生・周産期死亡、行政歯科技術職連絡会、公衆衛生教育、健康づくり、に関しての発表があり、保健医療に関わる様々なテーマの研究発表や報告が行われました。発表・質疑応答の終了後、林次長の閉会挨拶にて研究会は無事終了しました。 BTH27_3B.jpg 研究会の会場には、当日の発表者以外にも科学院職員および同窓会会員の方々あわせて、約70名のご参加をいただきました。研究会終了後、1階食堂で行われた意見交換会では研究会にも増して、活発な"質疑応答"が行われ、大いに盛り上がり、分野を超えた交流を図ることができ、盛会のうちに終了となりました。 多忙な業務をやりくりしてご発表された皆様、参加された皆様を始め、研究会の開催にご尽力いただきました関係者の皆様に大変感謝申し上げます。次回の開催日程は未定ですが、さらに充実した会になることを祈念する次第です。  (政策科学部 石川雅彦)

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