
かつて1年以上白金台で過ごした方なら、「ごうりん」という音は懐かしいのではないでしょうか。旧公衆衛生院の時代から、専門課程あるいは専攻課程のカリキュラムにあった「合同臨地訓練」は、いまでもその名前で、専門課程の特定の分野では主要なカリキュラムの一つに位置づけられています。
専門分野の異なる人たちがチームを編成し(合同)、地域に出かけて(臨地)、公衆衛生上の実際問題に主体的にかかわり、目標達成に向けたアプローチの方法を獲得しようとするものです。現地(フィールド)の意向を考慮しながら、目標設定や問題発見から問題解決に至るプロセスのなかでどの部分に関わるかを位置づけ、具体的に何に取り組むかをチームで決め、最終的にそれにふさわしい報告書を作成しようとするものです。
およそのテーマとフィールド(現地協力・指導機関)は事前に科学院のスタッフが用意しますが、その後、具体的に何をやるかは専門課程の受講者が主体的に決めていきます。7月中旬にチームが編成され、フィールドと課題について概況が把握され、夏休み明けの9月から準備をし、10月からの5週間(フィリピンで実施されるものは2週間)はフルタイムで現地調査、集計・分析、現地中間報告、まとめ(報告書作成)、と駆け抜けます。
以前に比較すると、時間の使い方はうまくなり、合理的に進めることが多くなったような気がしますが、それでも方向性や到達目標に関する議論では今でも白熱します。この熱い議論を通じて、修了後も貴重なネットワークが形成されているようです。
最近の課題を下にご紹介しますが、「合臨」を必修とする分野の受講者数が減少しており、チーム数も少数、「多分野」専門職によるチーム編成も難しくなっています。
公衆衛生関連の現場で仕事をされている皆さま、今度はフィールドとして科学院の「合臨」を支援していただけませんか。日頃抱えている課題を、「合臨」のプログラムを通じて、一緒に考えてみるのもよいかもしれません。ぜひご連絡ください。

平成17年度(3課題、内1つは国際保健分野)
*ホームレス地域生活移行支援事業における健康に焦点を当てた生活支援に関する取組み
*「患者の声」を地域医療の質の向上に反映させるために
*さいたま市在住のフィリピン人既婚女性が直面している問題
平成18年度(2課題、内1つは国際保健分野)
*都内医療機関における医療廃棄物処理の実態調査-医療廃棄物の適正処理のために-
*フィリピン国の第1次保健医療施設における人的資源に関する課題について
平成19年度(2課題、内1つは国際保健分野)
*生活保護を受けている一人暮らし高齢者の社会との関わりの現状と支援に関する一考察
*フィリピン国2都市の保健局における助産婦の訓練ニーズについて
(合同臨地訓練運営委員会 鈴木晃)