研修: 2013年7月アーカイブ

短期研修「住まいと健康研修」を6月3日から3週間にわたって実施いたしました。受講者は19名でした。

 住まいは住民の生活の基盤であり、健康に関わる重要な要素であると認識されていますが、生活衛生行政の中ではあまり積極的に取り組まれていないのが実情です。このため、科学院では、「建築物衛生研修」と隔年で、「住まいと健康研修」を開講しています。

 住まいの問題に取り組むためには非常に幅広い知識と総合的な視点が必要であると同時に、住まいの実質的な管理者である住民に対してわかりやすく伝達したり啓発したりする技術が求められます。本研修では、「住環境が健康に及ぼす影響を理解し、住民が健康に住むための技術支援を行うことができるようになる」ために、①住まいと健康に関する最新の技術的知識や対応技術を修得し、②住民に対する住環境教育や自治体における事業展開に応用する能力を獲得する、ことを目標としています。

 本研修は、講義と演習・見学で構成されています。講義では、化学物質を含む空気質、ダニや衛生害虫、カビ・微生物、温熱環境、水などが及ぼす健康影響とその対策、住宅に関する法制度のほか、今年度は、光・照明、電磁波、災害時の環境衛生管理の問題も取り上げました。見学では、集合住宅と戸建て住宅のそれぞれの構造・設備や新しい潮流について、実物を見ながら事業者の説明を受ける機会を設けました。演習では、グループワークをとおして、地域の健康問題をいかに把握し事業化していくか検討し、その事業を実施するうえで必要な教育媒体(講習会用の教材や職員向けのマニュアルなど)の作成に取り組みました。教育媒体の作成においては、参加型の保健教育の手法をできるだけ取り入れるような試みも行いました。受講生のみなさまが、派遣元でこれらの教育媒体を積極的に活用し、住まいと健康に関する事業に取り組んでいただけることを切に期待しています。

 (研修主任 阪東美智子)

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