短期研修「ユニットケアに関する研修」を開催しました。第1回「施設整備担当者向け」(5月9日~11日)は63名、第2回「サービスマネジメント担当者向け」(6月13日~15日)は76名の参加をいただきました。
本研修は、介護保険施設の整備・サービスの質向上にむけユニット型施設の普及を推進するという、厚生労働省の介護施設に関する基本的な政策方針に対応するものとなっています。ユニット型施設は、入居者一人ひとりの個性や生活リズムを大切にするユニットケアを実施する施設です。こうしたケアを実現するためには、職員の意識のみならず、施設の間取りや空間構成といったハード面の整備と、そこでのケアの提供とマネジメントというソフト面での充実が、両輪となる必要があります。こうしたことから、本院のユニットケア研修でも、自治体がユニット型施設の建設前の段階から施設整備に適切な助言指導を行うためのコース、建設された施設においてサービスマネジメントに適切な助言指導を行うためのコースを開設しています。
研修では、実際の施設の図面や写真等の視覚的な資料を併用しながら、ユニットケアの理念・生活像・建物・運営に関する理解を深めていきます。行政職員の事業者への助言指導が求められるという立場をふまえ、実際に施設の図面を検討する場面、または、施設に実地調査を行う場面で、どのような助言指導を行っていけるのか、ロールプレイ演習で実践的な内容にも取り組んでいます。
研修参加者の方は、職場に戻ればすぐに、実際の図面検討や訪問先での助言指導を行うことになるため、いずれの講義においても、それぞれが問題意識をもって真剣に参加され、講師の先生方との活発な質疑応答なども見られました。
包括的なケアの実現が、今後の介護行政の基本的な方向性です。それにともなって、住まいや施設の在り方、位置づけについても新しい考え方が出てきています。そのなかで、ユニット型施設をどのように地域のケア資源として位置づけていくのか、国や各自治体に問われている段階です。本研修も、こうした最新の介護政策・行政やケア手法に関する知見を踏まえながら、質の高いケアが地域で展開されるための一助となるよう、さらなる充実を目指したいと思います。
(医療・福祉サービス研究部:森川美絵、生活環境研究部:小菅 瑠香)