平成18年の医療制度改革において示された療養病床の再編成政策を受けて、国立保健医療科学院では平成19年度より、①病院事業者の方々を対象とした「療養病床転換の未来を考える研修」と、②地方自治体において療養病床の転換支援業務を担う方々を対象とした「療養病床の再編支援研修」の2種類の短期研修を行っています。ここでは平成20年6月30日7月1日の2日間で開催した、平成20年度「療養病床の再編支援研修」について報告します。
療養病床の再編においては、療養病床から介護保険施設・高齢者施設等に転換することも考えられます。そこで本研修では、転換先として想定される諸施設の解説、改修工事などの建築事業における課題や建築関連法規の解説、転換にともなう資金調達の概要などについて重点的に解説する研修としました。また「現場からの報告」と題して、療養病床を有する病院の管理者の先生から講演を賜り、さらに研修参加者のうち2名の方から自県での取り組み状況について報告していただきました。プログラムの最後には、厚生労働省老健局老人保健課より療養病床再編政策の状況を解説いただき、また活発な質疑応答が行われました。
受講者の多くは、この4月より療養病床の転換支援業務を担当されている方々であり、研修終了後のアンケートでは「増えつつある医療機関からの相談業務に役立つ内容であった」等の声をいただきました。とくに建築事業関連の講義については、高齢者福祉行政・介護保険行政を担当されている方々には普段あまり馴染みがないこともあり、高い評価をいただきました。
療養病床の再編成政策では、介護療養病床を平成23年度末までに廃止することとされています。本研修が各都道府県の方々、ひいては療養病床をお持ちの医療機関の皆様のお役に立てればと思います。
なお本年12月には、病院事業者向けの研修を当院にて開催する予定です。
施設科学部 小林健一