たばこ対策については、これまでの健康日本21等健康増進の流れに加え、さらに、平成18年6月成立のがん対策基本法などその重要性が一層強調されているところですが、平成20年度以降、健康増進法に基づき市町村において、健康教育・相談が実施され、禁煙支援に関する担当者の資質向上が引き続き求められています。
一方、平成20年度より、高齢者の医療の確保に関する法律にもとづいて、医療保険者による特定健康診査・特定保健指導がはじまり、喫煙が追加リスクとして位置付けられたところで、特に、保健所・市町村では保険者と連携し、補完的に禁煙支援を行うことなども想定されています。
また、診療報酬上評価されている、ニコチン依存症管理料についても、未成年や妊産婦など特に若年層では活用しにくいことや、再チャレンジ者へのつなぎ、など、やはり地域レベルで補完的に禁煙支援が行われることが必要とされています。
このような禁煙支援をめぐる状況のもと、保健所・自治体における禁煙支援の普及と企画調整に係る研修を当院において企画し、まず禁煙支援の普及を目指して初級コースを1月に実施したところです。
これらの研修は、平成18年度まで開催された個別健康教育指導者養成研修について、特に喫煙を例とした後継的な研修として位置づけ、地域でのたばこ対策における指導的役割を果たす者を養成するために必要な知識と技術の習得を目的とした研修です。また、日々の業務、特に対人サービスや事業の企画調整という点で、たばこ対策に限らず、応用可能であることを目指して構成しています。
地域でのたばこ対策の企画調整は、実は各地域の事例がベースになるものです。よって、本研修の受講を通じて現場での取り組みを推進したみなさんが、ゆくゆくは本研修の事例提供者・講師となって、ゆるやかなネットワークの形成と、ひいては現場での知恵の共有が可能となることとを通じ、たばこ対策ひいては保健活動の推進が促されていくことにつながっていけば、と願っております。(主任:吉見逸郎)