2011年7月アーカイブ

短期研修「薬事衛生管理研修」が5月16日-6月17日に実施されました。今年度は定員30名に対し32名の方が受講されました。

本研修は、都道府県ならびに独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)でGMP/QMS適合性調査を担当する薬事監視員を対象とし、医薬品、医薬部外品及び医療機器の製造方法、品質管理法、品質保証に関する専門知識を習得させ、GMP/QMS適合性調査における判断力等を一層高めることを目的としております。GMP/QMS適合性調査とは、患者さんの命に関わる医薬品や医療機器がそれぞれ「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(GMP省令)、「 医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準 に関する省令」(QMS省令)に基づき製造所において適切に作られているかどうかを調査するものです。

現在の運営体制は主任・副主任が本院から2名、国立医薬品食品衛生研究所から4名、国立感染症研究所から1名の計7名となっています。この他、外来講師として大勢の方にご協力いただいています。特にPMDAのエキスパートの先生方には査察演習において豊富な査察経験に基づいた貴重なご意見、ご助言を賜っております。

研修では講義で薬事行政の動向と問題点、最近の高度な技術に対応できる製造及び品質管理の監視に必要な技術と理論について学ぶ一方、以下の実習や演習を行っております。

○工場見学
医薬品、医療機器の工場をそれぞれ1ヶ所ずつ見学し、製造現場で実際にどのようにして製造管理・品質管理を行っているかについて学びます。今年度は長野県の株式会社八光メディカル事業部(医療機器)、養命酒製造株式会社駒ヶ根工場(医薬品)をお邪魔しました。

○フィルター・空調実習
注射剤、点眼剤といった無菌製剤を製造する上で重要な工程であるろ過滅菌について、講義やデモをとおして学習します。ザルトリウス・ステディム・ジャパン株式会社と株式会社大氣社のご協力の下で行っています。

○薬事実習:「製剤機械」
固形製剤を製造する上で不可欠な造粒機、乾燥機、コーティング機、打錠機について動作原理を講義で学んだ後、実機の動作している様子を見学します。株式会社パウレック、株式会社菊水製作所のご協力の下で行っています。

○査察演習
査察演習は本研修の中心に位置付けられるプログラムです。大人数での実施は困難なため、原薬、固形製剤、無菌製剤、医療機器の4つのグループに分かれて、各製造所の模擬査察を行います。今年度は、

無菌製剤:沢井製薬株式会社 関東工場
原薬:日本プロテイン株式会社 足利工場
医療機器:シード株式会社 鴻巣研究所
固形製剤:サンノーバ株式会社 本社工場

のご協力の下、演習を行いました。
通常の査察は2、3日かけて行うところ、この演習は1日で終了してしまうので、かなりタイトなスケジュールになります。このため、各グループともスケジュールやチェックリストの作成等、入念な準備で演習に臨み、効率よくプラントツアー(工場内の査察)、文書の確認を行いました。演習終了後はグループ毎に報告書を作成し、演習発表会では活発な質疑応答が交わされました。
今年度は震災や計画停電の影響で査察演習が実施できるのか懸念されましたが、幸い演習先への影響は軽微で無事演習を終えることができました。

最後になりましたが、研修中は多くの方から多大なるご支援、ご協力を賜りました。関係者の皆様方にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。

薬事衛生管理研修 主任・副主任一同
 平成23年度のユニットケアに関する研修は、サービスマネジメント担当者向けを23年5月18日(水)~20日(金)に、施設整備担当者向けを6月8日(水)~9日(木)に、整備方針立案担当者向けを6月10日(金)に開催しました。この研修は都道府県・政令市・中核市の高齢者福祉部局の職員を対象としたもので、良質なユニット型施設の普及を目的としています。今年度は合計で約170名の自治体職員が参加しました。
 いずれの研修も一般的な伝達研修とは異なり、チームでのディスカッション、直前に学んだことの確認テスト、モデュラー型車いすの試乗、配達係・書記係・司会係などの役割分担を図ったうえでの協働作業、三角スケールを用いた図面の読み込み、コンベックスを用いた椅子やテーブルの採寸、エクセルシートに入力しての事業シミュレーション、電卓を用いた作業、小テストとそれに基づいたロールプレイなど、様々な研修手法を駆使して、知識の定着を図るよう心がけています。基本的には根拠に基づいた研修内容となっていますが、感情に訴えるビデオを視て頂き、自治体職員という立場を超えて、目指すべき社会像をそれぞれの胸のうちで考えて頂く機会も設けています。いつ自分の班にマイクが回ってくるかという緊張感と、チームの連帯感とが混ざり合って、会場は自治体職員の皆さんとは思えないような熱気ある雰囲気に包まれました。講師には、介護現場の実践者、参加者と同じ立場にある自治体職員等をお招きしています。講師間の掛け合いを多くとり、飽きのこない研修を心がけましたが、いかがだったでしょうか。
 本年度、研修主任として心に残ったことがありました。一つは、受講者の皆さんが誘い合って和光の町へと繰り出したり、メールアドレスを交換したりといった光景を目にしたこと。互いにアドバイスし合える関係へと発展してくだされば何よりです。もう一つは、研修を終えた時に、皆さんから大きな拍手を頂いたこと。こんなにうれしいことはありません。この場を借りて、御礼申し上げます。
 保健医療福祉の質の向上にとって、保険者である自治体職員の役割は増すばかり。来年度もパワーアップした研修をお届けしたいと考えております。

文責:研修主任 井上由起子(医療・福祉サービス研究部)

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