2009年8月アーカイブ

短期研修「薬事衛生管理研修」が5月18日-6月19日に実施されました。今年度は定員30名に対し34名の方が参加されました。本研修は、国、独立行政法人医薬品医療機器総合機構及び都道府県でGMP/QMS適合性調査を担当する薬事監視員を対象とし、医薬品、医薬部外品及び医療機器の製造方法、品質管理法、品質保証に関する専門知識を習得させ、GMP/QMS適合性調査における判断力等を一層高めることを目的としております。GMP/QMS適合性調査とは、患者さんの命に関わる医薬品や医療機器がそれぞれ「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(GMP省令)、「 医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(QMS省令)に基づき製造所において適切に作られているかどうかを調査するものです。現在の運営体制は、主任・副主任が国立保健医療科学院から3名、国立医薬品食品衛生研究所から5名、国立感染症研究所から1名の計9名です。この他、外来講師として大勢の方にご協力いただいております。特に独立行政法人医薬品医療機器総合機構の先生方には査察演習において豊富な査察経験に基づいた貴重なご意見、ご助言を賜っております。研修では講義で薬事行政の動向と問題点、最近の高度な技術に対応できる製造及び品質管理の監視に必要な技術と理論について学ぶ一方、下記の実習や演習を行っております。

工場見学

医薬品、医療機器の工場をそれぞれ1ヶ所ずつ見学し、製造現場で実際にどのようにして製造管理・品質管理を行っているかについて学びます。今年度は群馬県の協和発酵キリン株式会社高崎工場(医薬品)、日本光電富岡株式会社(医療機器)をお邪魔しました。
yakuji2.JPG見学先の日本光電富岡株式会社にて

フィルター・空調実習注射剤、点眼剤といった無菌製剤を製造する上で重要な工程であるろ過滅菌について、講義やデモをとおして学習します。ザルトリウス・ステディム・ジャパン株式会社と株式会社大氣社のご協力の下で行っています。

薬事実習:「製剤機械」固形製剤を製造する上で不可欠な造粒機、乾燥機、整粒機、コーティング機、打錠機について動作原理を講義で学んだ後、実機の動作している様子を見学します。株式会社パウレック、株式会社菊水製作所のご協力の下で行っています。

査察演習

査察演習は本研修の中心に位置付けられるプログラムです。大人数での実施は困難なため、原薬、固形製剤、無菌製剤、医療機器の4つのグループに分かれて、各製造所の模擬査察を行います。今年度は、

無菌製剤:明治製菓株式会社小田原工場
原薬:アステラスファーマケミカルズ株式会社
医療機器:株式会社日立メディコ柏事業場
固形製剤:田辺三菱製薬工場株式会社足利工場

で演習を行いました。通常2、3日で行う査察を1日で行ってしまうため、かなりタイトなスケジュールです。このため、各グループとも役割分担しながら、査察前に作成したチェックリストに従って、効率よくプラントツアー(工場内の査察)、文書の確認を行いました。演習終了後は各グループで報告書を作成し、演習先に報告書のドラフトを確認していただき、報告書を完成させた後、グループ毎に発表します。演習発表会は各グループ90分という長丁場で、各グループとも80分以上にもわたって報告書の内容を丁寧に説明していました。以上が研修内容の説明です。
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研修中は大変お世話になりました。今後ともよろしくお願い申し上げます。今年度は開講日の2日前に国内初の新型インフルエンザ患者が発生したため、どうなることかと思いましたが、お陰様で全員無事修了することができました。研修中は多くの方から多大なるご支援、ご協力を賜りました。関係者の皆様方にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。

薬事衛生管理研修 主任・副主任一同

本年度の短期研修「住まいと健康」は、6月8日から3週間、17名の受講者を迎えて行われた。受講者として想定していた保健師の参加がなかったことは残念であったが、県(都)や政令市の保健所から環境衛生監視員の参加を得て、新たな演習への取り組みなど期待以上の成果をあげることができた。
sumai.JPG
健康な暮らしを支える住宅の確保については、オフィスビルを規制している建築物衛生法のような法的根拠をもたないため、保健所行政は住民への情報提供・啓発事業を独自の取り組みとして展開する必要がある。本研修では、この自治体の取り組みを担う公衆衛生技術者を養成することを目指し、最新の「住まいと健康」に関する体系的知識を提供する講義のほかに、演習、見学のプログラムが用意されている。演習では、実際の現場での事業展開に役立つような課題について、グループワークで議論しながら具体的成果をつくるもので、見学は環境や健康に配慮した住宅を実際に目で見、手で触れる機会を提供している(写真はUR都市機構「都市住宅技術研究所」の屋上緑化)。
今回のグループワークでは、住居衛生に関する情報提供・啓発を行なう際に活用できる教育媒体(講習会用教材、パンフレット、相談マニュアルなど)づくりと、住居衛生に関する事業評価の試行、の二つの課題について、それぞれチームを編成して取り組んだ。教育媒体づくりのグループワークでは、新人の住居衛生担当職員向けの相談マニュアル、建築部局・福祉部局向け連携づくりのための啓発資料、両親学級で出前講座を行なう際の参加型教材、が成果物として最終日に提示された。職場に戻ったのちに、これらをベースにしてさらに工夫が加えられ、活用される機会が持たれることを期待している。なお、これらのグループワークは研修参加者同士の貴重な情報交換の場となり、修了後のネットワークづくりにも生かされるであろう。
次回の「住まいと健康」研修は再来年の開講を予定しているが(来年度は「建築物衛生」研修を開講)、このテーマについては科学院のインターネットを活用した遠隔教育でも研修の機会を提供している。「住まいと健康」に関する基本的な知見について講義風景を動画で配信するもので、詳しくは科学院のホームページの募集要項をご覧いただきたい。

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