国立保健医療科学院では社会福祉に関する研修を多数実施しており、このユニットケア研修もそのうちの一つです。特別養護老人ホームなどの介護保険施設は、四人部屋と大食堂で構成された建物のなかで集団的なケアを提供する時代が長く続きましたが、介護保険の導入を機に、自立支援や尊厳の保持などが謳われるようになり、個室とユニットから構成された建物のなかで個別ケアを提供することが目指され、2003年、ユニット型特別養護老人ホームが制度化されました。この仕組みは、その後、老人保健施設、介護療養型医療施設にも導入され、現在では介護保険施設におけるケアの普遍的なあり方として定着しています。当該研修は、都道府県ならびに政令市の介護保険施設担当職員を対象に、ユニットケアに対する理解を深めて頂き、その成果を施設整備ならびに指導監査に活かして頂くことを目的に実施しています。研修期間は3日間とし、厚生労働省老健局計画課ユニットケア担当官からの講義のほか、ユニット型施設における各種研修を担っているユニットケア推進室、ユニット型施設を運営する施設長を講師としてお招きし、ユニット型施設の運営を具体的に説明頂きながら、理解を深めてゆくプログラムとなっています。ユニットケアに対する理解を踏まえて頂いた後に、具体的な図面の読み方、指導監査との関連性など、参加者の日々の業務への活かし方について議論を進めました。研修の最終日には先駆的な取り組みを行っている自治体から具体的な体制づくりをご説明頂き、参加者の皆さんが所属する自治体での応用可能性などをイメージして頂きます。
参加者の皆さんはここでの成果を職場に持ち帰って伝達する役割も担っていることから、一方的な講義形式は最小限とし、参加者自身で考えたり、グループでディスカッションする方法を取り入れることで、視野を広げるとともに、自分の言葉で説明できるような研修を目指しています。介護保険施設の適切な運用において行政職員は大きな役割を担っています。個別ケアの推進に向けて、事業者と行政がよりよく連携してゆけることを目指し、施設・行政、皆様のお力を借りながら、より効果的な研修を行っていきたいと思っています。