2008年11月アーカイブ

 平成20年度は10月6日から10月31日までの19日間, 23名の受講生を対象に食品製造施設における実地演習3回を含んだハードな研修を実施しました。
到達目標(SBO)は ①GHP(Good Hygienic Practice)及びHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point; 危害分析・重要管理点)の考え方に基づく食品衛生監視指導業務を実践できる、②食品衛生監視指導業務における現状、問題点、課題等を明確にした上で、それら改善・技術向上に必要となる手段方法を検討し、解決に向けた調査研究を遂行し、その結果に基づく実践ができる、③的確な業務遂行に必要となる事業者等との円滑な意見交換や指導助言、所属する組織内外への正確な情報提供やプレゼンテーションができる、でした。

 内容は、食品製造施設がHACCPシステムによる衛生管理及びその前提となる施設設備の衛生管理等一般的衛生管理を行うことにより総合的に衛生を管理しているか、監視する能力を身につけるものです。そのために、まず、HACCPの基本概念、特に危害分析の考え方について、しっかり学習及び演習を行いました。また、アメリカFDAが水産食品のHACCP規則の遵守状況を監視するため、FDAの監視員向けに衛星放送を活用して全米で実施したトレーニングのライブテープを用いて、HACCP及びその土台となる一般的衛生管理に関する監視の基礎を講義、演習課題及びグループ討議を行いながら学習しました。
 食品工場における演習では、予め工場における製造工程およびそこで行われている衛生管理について予習した上で、事前に工場のHACCPプランを見ないで、自分達で工場内をwalk throughしながら, フローダイアグラムの作成、危害分析の実施、さらにはHACCPプランの作成を行いました。その後、工場が実際に使用しているHACCPプランを見せて頂き、研修生達が作成したプランと比較し、その違いについて議論しました。さらに、工場がHACCPシステムの一部として実際に作成している記録を見せていただき、記録のつけ方に問題がないか監視演習を行いました。実施演習にご協力いただいた工場は次の通りです。
①宮島醤油株式会社宇都宮工場及び株式会社マルハニチロ宇都宮工場(栃木県宇都宮市、第1週目)
②森永乳業株式会社東京多摩工場及びロッテアイス株式会社日野工場(東京都、第2週目)
③株式会社あじかん静岡工場及びハウス食品株式会社(静岡県、第3週目)
 工場の皆様、及び工場選定にご協力いただいた宇都宮市、東京都及び静岡県の食品衛生主管課の皆様にもこの場を借りてお礼申し上げます。
 また、この講習を受講することにより、「対米、対EUの輸出水産食品の取扱い要領」に規定する指名食品衛生監視員の条件を満たすことになるため、両通知の概要の講義、過去に実際に行われたUSFDA及びECのFood and Veterinary Officeによる我が国の査察の概要、実際に対EU輸出水産食品施設を監視指導している自治体の指名食品衛生監視員の方の経験談、及び業界の立場で対米輸出水産食品の衛生管理を指導している方の経験談等も聞きました。
さらに、研修生がこれまで経験したHACCPに基づく食品衛生監視指導に関連する課題を次の4つのグループに分けて検討し、成果を最終週に発表しました。
①食品衛生監視員の資質向上について
②HACCP施設監視時のチェックシートの作成について
③中小企業へのHACCP導入のためのマニュアル作成について
④異物混入事例からのHACCPプランへのアプローチ方法について

 本研修の内容は総合衛生管理製造過程の承認施設、対米、対EU輸出水産食品施設の監視指導のみならず、今後HACCPに基づく衛生管理を行おうとしているすべての食品営業者に対する監視指導に活用し、地域における一層の食品の安全確保に生かして欲しいと担当者一同は願っております。

 研修主任 豊福肇(研修企画部), 副主任 寺田宙(研修企画部)

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 11月5日(日本公衆衛生学会総会の初日)に福岡国際会議場に於いて、総会が開催されました。
 今回の議事内容は、次期役員の選任を始め、19年度及び20年度(中間)の会務及び会計報告が行われました。

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 さらに、同窓会の充実、活性化を図るため、栄養部会の設置、メールマガジン編集委員会の設置について報告がされました。早速、ホームページに栄養部会コーナーを設けますので、関係会員の皆様は、是非このコーナーを部会の発展にご利用下さい。
(併せて、既に設置されている看護部会コーナーについても、関係会員の皆様の活用を宜しくお願いいたします。)

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 また、メールマガジン編集委員会では、今後記事内容の充実を図り、会員へ配信することが検討される予定ですので、今後のメールマガジンの配信にご期待下さい! 
 総会終了後、田中久子先生(女子栄養大学教授)による「公衆栄養教育にかける夢」と題する 記念講話が行われ、講和後に熱心な意見交換もされました。
 当日は、日本公衆衛生学会の盛り沢山の諸行事がある中、時間調整され、総会に参加いただきました会員の皆様へ深くお礼申し上げます。
 なお、近日中に当日の関係資料を、ホームページの「資料」に掲載する予定です。

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 「水道工学研修」は全国の水道事業体、都道府県水道関係部局、保健所、地方衛生研究所等で水道に関する業務に従事する相当経験のある技術者を対象とした研修であり、水道水の安定供給とその安全性および快適性を図る上で必要な、水道工学等に関する最新の専門知識と技術を養うことを目的としています。本年度は9月16日(火)から10月24日(金)まで、実質27日間の研修で、全国から29名(定員20名)の研修生が受講しました。内訳は水道事業体23名、都道府県の衛生行政関係、保健所等5名、その他(独立行政法人)1名となっています。講師には水道工学部職員の他、厚生労働省、大学、水道事業体、日本水道協会、水道技術研究センターなどの外部講師を招き、学術的な講義から実際の現場に即した内容まで幅広く対応しています。講義内容も水道の水源から浄水技術、水質、家庭内の給水装置に関することはもちろんですが、水道行政やリスク管理まで広範な範囲にわたっています。これは水道が多くの分野の業務から成り立っているためであり、私たちの生活に欠くことのできない社会基盤としての水道をこれからも維持していくためには、それぞれの専門分野を持つ技術者がお互いの仕事を理解することが必要だからです。

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 研修の中では講義の他、「セミナー」として毎年特定のテーマを決め、講師から話題提供をいただき、その後、講師と研修生(水道工学部の職員も含め)でディスカッションを行うという時間も設け、講師、研修生間の意見、情報交換ができるような工夫もしています。本年度は事業体の枠を超えて水系ごとで行っている原水水質管理について、利根川・荒川水系、相模原・酒匂川水系、淀川水系の3つの協議会から講師をお招きし、研修生と討論を行いました。ちなみに昨年度、一昨年度は危機管理、技術継承と人材育成をテーマとしたセミナーを行っています。「実地見学」ではまだ全国的には数の少ない、高度浄水施設や膜ろ過型浄水場の見学をおこない、新しい知見をひろめてもらいました。

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 また研修の最後には本研修の目玉とも言える2週間あまりの「特別研究」があります。これは研修生が課題ごとに2~3名のグループに分かれ、実験あるいは文献調査により問題点を整理し結果をとりまとめ、お互いに成果を発表するもので、本年度は11課題について各グループ質疑応答を含め30分の発表を行いました。個人的には話題が多岐にわたるため10分の質疑応答は時間が長いかとも思っていたのですが、活発な質問、意見等が出て予定時間を少し超過するペースとなりました。課題のいくつかを紹介すると、気候変動と水道水質管理といった将来的、計画的課題、未規制小規模水道における適正管理のあり方に関する調査研究といった行政対応的課題、ナノろ過や医薬品類の除去といった最新の処理技術、水質に関する課題、老朽化した配水管等の更新に関わる課題など、行政、技術、開発的、現場対応といった広範な分野にまたがっています。研修生もそれぞれの発表を聞くことで個々の問題に対して具体的な事例、解決策等について学ぶことができ、毎年、研修生からも高い評価を得ています。
 6週間という比較的長い研修ですので、研修生同士のつながりも深くなります。研修で学んだこと、体験したことと共に、ここで培った研修生同士のつながりも活用して、日々の仕事に活かしていただきたいと願っています。

「水道工学研修」 研修主任 伊藤 雅喜 (水道工学部)

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