衛生主管部局事務官研修

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本研修は、都道府県、政令指定都市、中核市等の衛生主管部局(保健所等を含む)の「事務官」の管理職の方、または将来管理職に就く予定のある方を対象として、衛生行政の特徴を理解し、部局内及び関係機関との効果的なコミュニケーション、ポピュレーションアプローチによる健康政策開発、そして衛生主管部局における組織管理に関する実践的能力を修得することを目的としています。
 この研修は昨年度から開講された新しい短期研修で、今年度は9月3日~5日の3日間で開催されました。何が新しいかというと「事務官」を対象としていることです。衛生行政に関するこれまでの研修は、医師、保健師等の技術職を主な対象としており、事務官に焦点をあてた研修はほとんど実施されてきませんでした。衛生行政を推進する上で、事務官と技術職は車の両輪であり、事務官の人材育成は技術職のそれと同等あるいはそれ以上に重要であるという認識のもとで、本研修を企画しました。
 衛生行政に従事する事務官にとっての悩みの一つは「ことばがわからない」ということです。専門的な医学用語のみならず、「健康」、「予防」、「ヘルスプロモーション」といった概念も、技術職にとっては耳慣れたものですが、事務官にとってはなじみの少ないものです。そこで本研修では、公衆衛生・衛生行政の歴史と現状、衛生行政に関連するこれらの重要な概念の「本質」を理解してもらうための講義と演習を実施しました。
 また、これに関連して「技術職とのコミュニケーション」に関する悩みも挙げられます。これに関しては、衛生行政の現場で活躍されている医師、保健師の先生を講師とした事例分析演習を実施し、技術職との効果的なコミュニケーションの技術を修得することに努めました。
 さらに、ポピュレーションアプローチによる健康政策開発、健康危機管理、衛生部局における組織経営管理、衛生部局における事務官の役割、衛生部局における人材育成に関する講義、保健医療福祉情報の収集・活用・提供に関する講義と演習を実施し、衛生行政に関する網羅的・体系的な、かつ本質的な知識と技術を修得できる科目を設定しました。
 そして最後に、組織・地域において管理職として実践すべき行動計画を策定する演習を実施し、職員(上司、同僚、部下)の様々なバックグラウンドや考え方を理解した上で効果的な組織運営・管理を実践するための方策を、受講生全員で検討しました。
 今年度は8名の受講生が修了しました。少人数であったため、こぢんまりとして、落ち着いた雰囲気で講義や演習を行うことができ、受講生の方からも高い評価をいただくことができました。もちろん、改善すべき点等のご意見もいただきましたので、それらのご指摘を踏まえてさらにプログラムを改善していきたいと考えております。
 「他の部局に異動することの多い事務官を研修に派遣するのは...」とお考えの衛生主管部局の責任者の方に申し上げます。本研修を受講した事務官の方は、技術職とうまくかみあった車の両輪を構築し、衛生行政を効果的に推進することができるでしょう。また本研修によって健康に関連する概念を理解した事務官の方が異動することで、他の行政分野に「健康」の概念が普及し、あらゆる行政分野で「健康」を推進するような施策が展開されるでしょう。つまり、短期的にみても、長期的にみても、本研修は、地域における衛生行政や健康政策の効果的な推進、さらには地域住民の健康水準の向上に大きく貢献できると考えられます。今後とも、本研修の発展にさらなるご助力をいただければ幸いに存じます。

研修主任 武村真治(公衆衛生政策部)

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このページは、adminが2008年9月24日 11:19に書いたブログ記事です。

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