admin: 2009年1月アーカイブ

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中堅保健師に求められる役割を理解し、地域のニーズに応じた地域ケアシステムを開発し、総合的な調整が実施できる能力の修得を目的とした本研修が、前期7日間(平成20年8月25日~9月2日)に引き続き、後期3日間(平成21年1月14日~1月16日)を終え、全日程が修了しました。前期終了後から後期研修までの約4カ月間は、前期研修で学んだ地域ケアシステムの考え方、企画・実施・評価などの基本的な知識をふまえ、各自の地域課題の明確化と、計画を職場へと持ち帰り、職場内や関係者などを交えて再検討を実施した上で、実践・モニタリング・評価を展開する期間としていました。後期研修では、各自の課題への取り組み結果を携え、グループディスカッションでさらに検討を深め、活動を評価する視点や能力を高めていきました。

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また後期日程では演習の他に、自治体リーダー保健師による「人材育成」に関する講義や、昨年10月から当院公衆衛生看護部長に就任された成木弘子部長による「地域ケアシステム構築における中堅保健師への期待」の講義がありました。これらの講義による学びでは、人材育成の取り組みの実際や中堅保健師として果たす役割や責任の自覚、保健活動の実践を科学的根拠とする理論の理解、今後へ向けたスキルアップの必要性などがありました。
全研修期間の取り組みによって得られた成果や気付き、演習などを通じて発揮された、高いモチベーションと実践力を、各自治体における今後の活動・実践へと発展的に活用していただくことを期待しております。

研修主任 奥田博子(公衆衛生看護部)

平成20年3月1日より,国立保健医療科学院技術評価部が運営する臨床研究(試験)情報検索サイト(以下ポータルサイト)が,本稼動を始めました。このポータルサイトは,研究者だけでなく患者や一般の方々に対する臨床試験の情報提供を意図しており,日本の臨床試験登録センターのうち,大学病院医療情報ネットワーク(UMIN),財団法人日本医薬情報センター(JapicCTI),社団法人日本医師会治験促進センター(JMACCT)の主な3センターに登録された全ての臨床試験の情報を横断的に単一の窓口で検索することができる画期的なサイトです。
この技術評価部と3センターUMIN,JapicCTI,JMACCTと厚生労働省医政局研究開発振興課治験推進室の5つの機関で構成される日本の臨床研究登録機関(Japan Primary Registries Network(以下,JPRN)で,日本における治験・臨床研究登録に係る協力体制を構築しています。このJPRNが平成20年10月16日,WHOが定めた基準を満たし,治験・臨床研究の計画,結果等の情報を登録・公開する機関(WHO Primary Registry)として,全世界で9カ国目に認定されました。

なぜ臨床試験情報を登録する必要があるのか?というと,臨床試験を実施する前に試験計画を適切に公開することで,臨床試験の透明性を確保し,被験者保護と治験・臨床研究の質を担保することが目的として挙げられます。また,臨床試験に対する一般国民の信頼と理解を得ることにも繋がり,試験結果の公表に関するバイアス(publication bias)を避けるという意味でも大変重要なことです。さらに,平成20年7月31日に改正された「臨床研究に関する倫理指針」にも研究責任者の責務として,侵襲性を有する介入研究は,上記の3登録センターのいずれかに事前に臨床研究計画を登録しなければならないと明記されるようになりました。

臨床研究(試験)を登録するメリットについては,平成16年9月にICMJE(International Committee of Medical Journal Editors)から臨床試験の実施と報告の透明性を高めるために論文投稿を受付ける条件として,一定基準を満たす登録システムに登録していることが要求され,登録IDのない場合は掲載しない旨の声明が出されています。この度JPRNがWHO Primary Registryに認定されたということは,3つの登録センターのいずれかに事前に臨床試験情報を登録さえすれば,臨床研究結果を論文としてLANCET,JAMA,NEJM等々のICMJEに加盟する一流雑誌に投稿できるようになったことを意味しているのです。これは、日本で実施される臨床試験の結果を世界に向けて発信する上でも有益なことです。

では,臨床試験情報を登録する情報として,どのような項目が必要かについては,WHOのICTRP(International Clinical Trials Registry Platform)で国際的に情報を共有化するための20の最少登録項目が定められています。具体的な臨床試験の登録方法の詳細等については,ICTRPあるいは上記の3登録センターの各ホームページを参照してください。一方,ポータルサイトでは,現在どのような対象にどのようなデザインの臨床研究が計画されているか,あるいは実施されているかを,適当なキーワードを入力あるいは選択することで必要な情報が容易に収集できるため,登録を考えている研究者にとって具体的な登録項目の参考にも利用できる有益なサイトなのです。

是非,この機会にポータルサイトを臨床試験に係わる全ての人々それぞれの立場で有効に活用していただき,臨床試験情報の登録の必要性やJPRNについて関心を持っていただけることを期待しています。

国立保健医療科学院 技術評価部
(1/13のメルマガで、リンクが外れていたためここに再掲します。同窓会Admin藤井)

新年のご挨拶

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同窓会員のみなさま、新年明けましておめでとうございます。
一昨年3月に同窓会が発足して以降、同窓生の数が順調に増加しており、またこの間に研究会も2回開催することができ、みなさまの同窓会運営へのご理解とご協力に厚くお礼申し上げます。本年もよろしくお願いいたします。
昨年夏以降から米国の金融危機に端を発して、100年に一度といわれる世界的大不況となっています。経済不況は単に生活が脅かされるだけでなく、健康に対しても大きな脅威となります。経済格差は健康格差の拡大にもつながり、貧困層の拡大は不健康層の拡大をもたらします。
1970年代以降のわが国の公衆衛生活動は豊かな(少し?)経済状況の中での健康課題への対応をしてきました。しかし、今年からは国、地方自治体に財源が乏しく、国民も経済的に疲弊しつつある中での対応となります。まさに新たな発想と創意工夫が求められているのではないでしょうか。
全国の様々な地域・職域で高い専門性を持った人材のネットワークである国立保健医療科学院同窓会がこの役割の一端を担うことができれば、すばらしいことだと思います。この同窓会運営はインターネットを主体とするという特異な形態を取っていますが、この形態により情報が迅速に全ての同窓生と共有できるというメリットがあります。このメリットを生かして、皆様には今まで以上に同窓会活動へご参加いただき、わが国の健康政策に対する提言ができればと考えています。
最後になりましたが、この1年が皆様方にとって有意義な年となりますことを祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。
国立保健医療科学院同窓会会長 角野文彦

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