◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◆   国立保健医療科学院同窓会 メールマガジン(第39号 2009/12/14) ◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◆ ★★ メールマガジン第39号 ☆★ 【掲示板に書き込み募集中】 _________________________________ □ 目次 [科学院だより] ○科学院往来  建築衛生部 建築物衛生室長 田島昌樹着任挨拶 ___________________________________ ●科学院往来  建築衛生部 建築物衛生室長 田島昌樹着任挨拶  9月1日に建築物衛生室長を拝任致しました田島昌樹と申します。昨年度まで は国土交通省国土技術政策総合研究所の住宅研究部に、この4月から8月までは 早稲田大学理工学術院総合研究所におりました。以下に近年私が携わってきた 研究について申し上げることで自己紹介とさせて頂ければと思います。 私の専門分野は建築環境・設備で、上記の研究所では主に建築と付属する 設備機器の省エネルギーについて、省エネルギー基準の改正にかかる検討や、 国土交通省の総合技術開発プロジェクト等における省エネルギー型住宅の設計 のためのガイドライン作成に関する研究を行っておりました。ご存じのとおり、 わが国において建築に関係する二酸化炭素排出量は現在も増加し続けており、 家庭部門の場合1990年比で41.2%増(2007年度)と大きな値となっています。 そのため、「居住者に何かしらの我慢を強いてでも省エネルギーを達成」する 必要があると考えている方も残念ながらいらっしゃいます。しかしながら 上記の研究では、「居住者の健康性や快適性と省エネルギーの双方が達成できる」 ことを目標として実施して参りました。これらの成果の一つが「自立循環型住宅 設計へのガイドライン」という書籍になっており、技術者や一般向けの講習会に 使用されています。自立循環型住宅という言葉は少し難しいのですが、 「居住性や利便性の水準を向上させつつも、居住時のエネルギー消費量を 2000年頃の標準的な住宅と比較して50%にまで削減可能な住宅」と定義されており、 ここに先述のような居住者の健康性や快適性と省エネルギーの双方を達成する ことが大前提として謳われております。この書籍には「実用化されており経済的 に妥当性の高い技術」を中心として、自然エネルギーの活用、建物の断熱性能の 向上、および設備機器の効率的利用により省エネルギーを達成するため手法が 丁寧に解説されています。最後の章では、居住者の好みや立地などによって 決定される具体的な技術や手法を用いた場合の省エネルギー達成度が簡単に 計算できるようになっています。ご興味のある方は是非お声をおかけください。 このガイドラインは、書類の提出が義務づけられているような基準や法では ないにもかかわらず、現時点で約1万人の方が講習を受けています。この講習の 受講がプロポーザルへの参加条件となっている環境省の省エネルギー住宅に 関するプロジェクトもあり、成果が普及段階にあります。居住者の健康性や 快適性と建築物との関係は本院での任務ともたいへん深く関わっているため、 様々な生活スタイルや新しい技術を視野に入れて研究の継続実施を計画しており、 建築分野のみならず医学的な見地からのご意見も頂戴したく考えております。  最後になりましたが、本院では研究とともに研修が重要な職務ですが、 本院における研修経験は未だ僅かしかありません。上述の自立循環型住宅の 講習会における講師の経験や、大学での講義、JICAの研修等のこれまでの 経験を生かしつつ、諸先輩方の講義を拝見させて頂きながら研修に工夫を 加えていきたと考えておりますので、今後とも、ご指導、ご鞭撻を賜ります よう宜しくお願い申し上げます。 ___________________________________ 発行 :国立保健医療科学院同窓会