◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◆   国立保健医療科学院同窓会 メールマガジン(第27号 2009/1/13) ◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◆ ★★ メールマガジン第27号 ☆★ 同窓会ホームページ更新!(http://www.niph-doso.gr.jp)  トピックス更新!   メールマガジンの充実・活性化のため、新メールマガジンでは  研修前の研修案内(HPでは研修後の研修状況)と科学院研究者  (人事異動に伴う新任及び退任者)の挨拶及び研究紹介・情報提  供などを掲載します。  ホームページ上のトピックスなどとあわせてご覧ください! 【掲示板に書き込み募集中】 __________________________________ □ 目次 [科学院だより]  ○科学院往来 ・大澤部長新任挨拶  ○研修案内  ・公衆衛生看護管理者研修 ・平成21年度 第1回「医療安全リーダーシップ研修」開催のお知らせ  ○情報提供 ・WHOによる日本の治験・臨床研究登録機関JPRNの認定について (技術評価部) __________________________________ ●科学院往来 ・大澤部長新任挨拶 「自己紹介と抱負」 建築衛生部長:大澤元毅  昨年7月から、建築衛生部長を勤めています。着任から半年を経てやや遅く なりましたが、紙面をお借りして自己紹介と抱負を述べさせていただきます。  本院に採用される前は「独立行政法人建築研究所」、さらに遡ると 「国土交通省国土技術総合研究所」、「建設省建築研究所」で、研究或いは その管理・企画に携わってきました。  職場の名称・組織は何度か変わりましたが、昭和53年の奉職以来、居住 環境一筋をほじくってきた根っからの研究公務員と自認しています。また、 今ではつくば(茨城県)暮らしの方が長くなりましたが、生まれ・育ちは 神奈川県川崎、趣味は永年上手くならない草テニスです。  さて、古巣の建築研究所には様々な分野の専門家が働いていますが、 20年以上所属した居住環境研究室は、居住環境の快適性・健康性と効率性を 主に扱う部署でした。大学での研究は省エネルギー、中でも太陽熱利用から スタートしましたが、研究所では断熱結露の実験・シミュレーション、 居住環境調査、シックハウスなどに幅を広げていきました。  ご承知のとおり、建築/住宅は生活時間の大半を過ごし、エネルギーの 過半を消費する「場」であり「装置」ですから、その様々な実態やメカニズムを 把握・解明し、情報提供や施策を通じて、効率や安全性に優れた建築の供給に 結びつけることが使命です。  ふり返ると、最初の10年余りは実験とシミュレーション、次の10年は 調査と様々な評価・予測、最後の10年ほどは研究の企画運営(予算要求) と成果のとりまとめに追われる日々でした。なかでも本院にお世話になる きっかけとなったシックハウス研究は、平成の初頭から空気汚染実態の把握と 伝播機序の解明、対策(規制)効果の予測・検証にたずさわって、建築基準法の 改正などにお役に立てたと自負しているところです。  近年、環境やエネルギー制約が厳しくなるなか、建築はかつてのような おおらかさとロバスト性を失い、特定目的で導入された材料や技術が思いも かけぬところに問題を生じさせる事態が増えています。例えばシックハウス 問題は、省エネと温熱快適性を意図した「換気量の減少」と、耐久性・安全性や コスト削減を意図した合成化学物質の多用に伴う「空気汚染源の増加」が相乗的に 作用して招いた現代技術の歪です。個々には合理的に見えた技術も、組み合わ されると風が吹いて桶屋が儲かるが如き予想もしない結果を生じました。  要素技術と数値シミュレーションなどの目覚ましい発展に、それらを適切に 選択し設計施工する技術が追いついていないなど、実験室或いは机上の技術が刻々 と変化する現実と乖離しがちな状況が生まれています。  大変に難しい課題ですが、建築本来の多様性と総合性を踏まえ、快適性や効率性 などの効用とリスクとのバランスを冷静に評価判断し、技術の評価や提言を行って いきたいと考えています。  本院で得られた新しい仲間と環境を活かして、「住まいをつくる側」から 「住まう側、使う側」への転換を模索していますのでご指導ご鞭撻のほど、 よろしくお願い申し上げます。 ____________________________________ ●研修案内 ・公衆衛生看護管理者研修  公衆衛生看護部では自治体に保健師として勤務し、管理的立場にある方を対象に 公衆衛生看護管理者研修を毎年5月から6月にかけて行っております。  この研修は公衆衛生看護部のメイン研修として行われ、40名の定員に対し、毎年、 それを上回る応募があり、満足度、研修の効果とも高く評価されており、特に、 管理者として全国にネットワークを持つ大事な機会となっております。修了した 多くの保健師は全国で管理者として活躍されております。  保健福祉分野における組織管理の実践的技術を修得することを目的とした研修は、 院内においても、他機関においても実施されておらず、本コースが唯一です。 多種多様な講師陣の講義を受講でき、全国の保健師の管理者の立場の者が、一堂に 集まり、情報交換と、意見の交換ができる機会は他機関では見当たらないと自負 しております。  今日の社会情勢の変化はめまぐるしく、それらに対応するため、保健福祉分野も 新たな活動体系の再構築が行われています。保健部門も拡大・分化し、分散配置 体制が推進されているなかで、他職種と共同して総合的な健康対策に積極的に かかわる活動が常に求められている時代です。各自治体での保健師の配置は、 地域保健・福祉分野以外にも職域が拡大しており、男女共同参加分野、環境分野、 教育分野などでも保健師の専門性や経験および行政企画力などを生かしたリーダー シップが期待され、組織の管理的職位に就く人も増加しています。このような 状況の中で、様々な管理機能を発揮した活動が求められており、本コースへの 期待はますます大きくなっていくことが予測されます。21年度も公衆衛生看護 管理者研修は実務管理を重点に置き、平成21年5月25日に開講の予定です。 看護部一同、全力で研修に携わっていく所存です。多くの方の受講をお待ちして おります。 http://www.niph.go.jp/entrance/h21/course/short/short_chiki09.html ------------------------------------------------------------------------ ・平成21年度 第1回「医療安全リーダーシップ研修」開催のお知らせ  医療安全は医療の質向上および経営上の問題にも影響することから考えると、 安全で良質の医療を提供するためには、医療安全においてトップマネジメントが 強いリーダーシップを発揮する必要があります。 平成18年より、国立保健医療科学院では、医療機関の管理者の方々を対象に、 2日間の医療安全リーダーシップ研修を実施してきました。これまでの研修から 得られた皆様の声と昨今の医療を取り巻く情勢の変化に対応するべく、 平成21年度はさらに研修内容を見直して、医療安全推進、および医療事故発生時に おけるトップマネジメントのリーダーシップ、事例分析や医療安全教育における トップマネジメントの介入などについて、講義と演習による研修を予定して いますので、ご案内致します。 1.受講対象者:病院長、または副院長 2.研修期間:平成21年4月21日(火)・22日(水)の2日間 3.研修場所:国立保健医療科学院 4.受講定員:40名 5.研修内容(予定)    医療安全におけるトップマネジメントのリーダーシップ    院内医療安全教育―トップマネジメントの介入―    医療事故発生時におけるトップマネジメントの介入    法律家からみた苦情・クレーム対応のポイント 6.受講受付期間 平成21年2月2日(月)〜3月2日(月) *受講申し込みの詳細に関しましては、国立保健医療科学院ホームページの 平成21年度研修案内 (http://www.niph.go.jp/entrance/h21/course/short/short_iryo01.html) をご参照下さい。                (研修担当:政策科学部 石川雅彦) ____________________________________ ●情報提供 ・WHOによる日本の治験・臨床研究登録機関JPRNの認定について                   国立保健医療科学院 技術評価部  平成20年3月1日より,国立保健医療科学院技術評価部が運営する臨床研究 (試験)情報検索サイト(以下ポータルサイト)が,本稼動を始めました。 このポータルサイトは,研究者だけでなく患者や一般の方々に対する臨床試験の 情報提供を意図しており,日本の臨床試験登録センターのうち,大学病院 医療情報ネットワーク(UMIN),財団法人日本医薬情報センター(JapicCTI), 社団法人日本医師会治験促進センター(JMACCT)の主な3センターに登録された 全ての臨床試験の情報を横断的に単一の窓口で検索することができる画期的な サイトです。  この技術評価部と3センターUMIN,JapicCTI,JMACCTと厚生労働省医政局 研究開発振興課治験推進室の5つの機関で構成される日本の臨床研究登録機関 (Japan Primary Registries Network(以下,JPRN)で,日本における治験・ 臨床研究登録に係る協力体制を構築しています。このJPRNが平成20年10月16日, WHOが定めた基準を満たし,治験・臨床研究の計画,結果等の情報を登録・ 公開する機関(WHO Primary Registry)として,全世界で9カ国目に認定され ました。  なぜ臨床試験情報を登録する必要があるのか?というと,臨床試験を実施する 前に試験計画を適切に公開することで,臨床試験の透明性を確保し,被験者保護 と治験・臨床研究の質を担保することが目的として挙げられます。また,臨床 試験に対する一般国民の信頼と理解を得ることにも繋がり,試験結果の公表に 関するバイアス(publication bias)を避けるという意味でも大変重要なことです。 さらに,平成20年7月31日に改正された「臨床研究に関する倫理指針」にも研究 責任者の責務として,侵襲性を有する介入研究は,上記の3登録センターのいずれ かに事前に臨床研究計画を登録しなければならないと明記されるようになりました。  臨床研究(試験)を登録するメリットについては,平成16年9月にICMJE (International Committee of Medical Journal Editors)から臨床試験の実施と 報告の透明性を高めるために論文投稿を受付ける条件として,一定基準を満たす 登録システムに登録していることが要求され,登録IDのない場合は掲載しない旨の 声明が出されています。この度JPRNがWHO Primary Registryに認定されたという ことは,3つの登録センターのいずれかに事前に臨床試験情報を登録さえすれば, 臨床研究結果を論文としてLANCET,JAMA,NEJM等々のICMJEに加盟する 一流雑誌に投稿できるようになったことを意味しているのです。これは、日本で 実施される臨床試験の結果を世界に向けて発信する上でも有益なことです。  では,臨床試験情報を登録する情報として,どのような項目が必要かについては, WHOのICTRP(International Clinical Trials Registry Platform)で国際的に 情報を共有化するための20の最少登録項目が定められています。具体的な臨床 試験の登録方法の詳細等については,ICTRPあるいは上記の3登録センターの 各ホームページを参照してください。一方,ポータルサイトでは,現在どのような 対象にどのようなデザインの臨床研究が計画されているか,あるいは実施されて いるかを,適当なキーワードを入力あるいは選択することで必要な情報が容易に 収集できるため,登録を考えている研究者にとって具体的な登録項目の参考にも 利用できる有益なサイトなのです。  是非,この機会にポータルサイトを臨床試験に係わる全ての人々それぞれの 立場で有効に活用していただき,臨床試験情報の登録の必要性やJPRNについて 関心を持っていただけることを期待しています。 ____________________________________ 発行 :国立保健医療科学院同窓会