●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●    国立保健医療科学院同窓会 メールマガジン(第21号 2008/9/24) ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ★☆ メールマガジン第21号 ☆★ 同窓会ホームページ更新!(http://www.niph-doso.gr.jp)  トピックス更新! ------------------------------------------------------------------------ □ 目次 [科学院だより]  ○第2回保健医療科学研究会(平成20年度)開催 ○衛生主管部局事務官研修 ------------------------------------------------------------------------ ●第2回保健医療科学研究会(平成20年度)開催  平成20年9月19日(金)10時より、国立保健医療科学院・交流対応大会議室 において、同窓会と科学院の共催による第2回保健医療科学研究会が開催され ました。篠崎院長の開会挨拶、および角野文彦同窓会会長の挨拶をいただいた 後、今回の新しい試みであるシンポジウムが実施されました。テーマは、 「特定検診・保健指導の始動」で4名のシンポジストの方々をお招きし、発表 ならびに討論が行われました。その後、昼食をはさんで午後1時から「健康 危機管理」、「生活習慣病対策」、「医療情報・マネジメント」、および 「暮らしと健康」、の4テーマにおける一般演題の研究発表が実施されました。  演題数はシンポジウムをあわせて全28題(科学院の職員18題、科学院外 の方10題)で、昨年度の第1回を上回る発表があり、演者からの発表後には 活発な質疑応答が展開されました。  「健康危機管理」では、乳幼児関連、e-learning、危機の早期検出に関して、 「生活習慣病対策」では、公衆衛生の役割、肥満、妊産婦の食事バランス、 がん対策、データベース登録情報、たばこ対策に関してなど幅広い内容の発表 が行われました。また、「医療情報・マネジメント」では、アンケート調査 システム、メーリングリスト、医療費、リスク評価、医療事故と分析手法、 安心の価値、精神科施設などさまざまな分野に関して、「暮らしと健康」では、 浄水処理、アレルギー発生、ボトル飲料、放射線に関する発表など、保健医療 に関わる研究発表や報告が行われ、予定時間をややオーバーしましたが無事 終了致しました。 研究会には、当日の発表者以外にも科学院職員および同窓会会員の方々 あわせて、約80名のご参加をいただきました。研究会終了後、1階食堂で 行われた意見交換会では、林次長の開会挨拶のあと、研究会にも増して活発 な“質疑応答”が行われ、大いに盛り上がり、分野を超えた交流を図ること ができ、盛会のうちに終了となりました。  多忙な業務をやりくりしてご発表された皆様、参加された皆様をはじめ、 研究会の開催にご尽力いただきました関係者の皆様に大変感謝申し上げます。 次回の開催日程はまだ未定ですが、さらに充実した会になることを祈念する 次第です。                      (政策科学部 石川雅彦) ●衛生主管部局事務官研修  本研修は、都道府県、政令指定都市、中核市等の衛生主管部局(保健所等 を含む)の「事務官」の管理職の方、または将来管理職に就く予定のある方 を対象として、衛生行政の特徴を理解し、部局内及び関係機関との効果的な コミュニケーション、ポピュレーションアプローチによる健康政策開発、 そして衛生主管部局における組織管理に関する実践的能力を修得することを 目的としています。  この研修は昨年度から開講された新しい短期研修で、今年度は9月3日〜5日 の3日間で開催されました。何が新しいかというと「事務官」を対象として いることです。衛生行政に関するこれまでの研修は、医師、保健師等の技術職 を主な対象としており、事務官に焦点をあてた研修はほとんど実施されて きませんでした。衛生行政を推進する上で、事務官と技術職は車の両輪で あり、事務官の人材育成は技術職のそれと同等あるいはそれ以上に重要で あるという認識のもとで、本研修を企画しました。  衛生行政に従事する事務官にとっての悩みの一つは「ことばがわからない」 ということです。専門的な医学用語のみならず、「健康」、「予防」、「ヘル スプロモーション」といった概念も、技術職にとっては耳慣れたものですが、 事務官にとってはなじみの少ないものです。そこで本研修では、公衆衛生 ・衛生行政の歴史と現状、衛生行政に関連するこれらの重要な概念の「本質」 を理解してもらうための講義と演習を実施しました。  また、これに関連して「技術職とのコミュニケーション」に関する悩みも 挙げられます。これに関しては、衛生行政の現場で活躍されている医師、保健 師の先生を講師とした事例分析演習を実施し、技術職との効果的なコミュニ ケーションの技術を修得することに努めました。  さらに、ポピュレーションアプローチによる健康政策開発、健康危機管理、 衛生部局における組織経営管理、衛生部局における事務官の役割、衛生部局に おける人材育成に関する講義、保健医療福祉情報の収集・活用・提供に関する 講義と演習を実施し、衛生行政に関する網羅的・体系的な、かつ本質的な知識 と技術を修得できる科目を設定しました。  そして最後に、組織・地域において管理職として実践すべき行動計画を策定 する演習を実施し、職員(上司、同僚、部下)の様々なバックグラウンドや 考え方を理解した上で効果的な組織運営・管理を実践するための方策を、 受講生全員で検討しました。  今年度は8名の受講生が修了しました。少人数であったため、こぢんまりと して、落ち着いた雰囲気で講義や演習を行うことができ、受講生の方からも 高い評価をいただくことができました。もちろん、改善すべき点等のご意見も いただきましたので、それらのご指摘を踏まえてさらにプログラムを改善して いきたいと考えております。  「他の部局に異動することの多い事務官を研修に派遣するのは…」とお考え の衛生主管部局の責任者の方に申し上げます。本研修を受講した事務官の方は、 技術職とうまくかみあった車の両輪を構築し、衛生行政を効果的に推進する ことができるでしょう。また本研修によって健康に関連する概念を理解した 事務官の方が異動することで、他の行政分野に「健康」の概念が普及し、あら ゆる行政分野で「健康」を推進するような施策が展開されるでしょう。つまり、 短期的にみても、長期的にみても、本研修は、地域における衛生行政や健康 政策の効果的な推進、さらには地域住民の健康水準の向上に大きく貢献できる と考えられます。今後とも、本研修の発展にさらなるご助力をいただければ幸い に存じます。 研修主任 武村真治(公衆衛生政策部) ------------------------------------------------------------------------ 発行 :国立保健医療科学院同窓会