●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●    国立保健医療科学院同窓会 メールマガジン(第10号 2008/2/24) ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● ★☆ メールマガジン第10号 ☆★ 同窓会ホームページ更新!(http://www.niph-doso.gr.jp)  トピックス、メールマガジン更新! 【掲示板に書き込み募集中】 ---------------------------------------------------------------------- □ 目次 [科学院だより] ●最近の「合臨」の状況について ●海外合同臨地訓練 ====================================================================== ○最近の「合臨」の状況について  かつて1年以上白金台で過ごした方なら、「ごうりん」という音は懐かしい のではないでしょうか。旧公衆衛生院の時代から、専門課程あるいは専攻課程 のカリキュラムにあった「合同臨地訓練」は、いまでもその名前で、専門課程 の特定の分野では主要なカリキュラムの一つに位置づけられています。 専門分野の異なる人たちがチームを編成し(合同)、地域に出かけて(臨地)、 公衆衛生上の実際問題に主体的にかかわり、目標達成に向けたアプローチの方 法を獲得しようとするものです。現地(フィールド)の意向を考慮しながら、 目標設定や問題発見から問題解決に至るプロセスのなかでどの部分に関わるか を位置づけ、具体的に何に取り組むかをチームで決め、最終的にそれにふさわ しい報告書を作成しようとするものです。  およそのテーマとフィールド(現地協力・指導機関)は事前に科学院のスタ ッフが用意しますが、その後、具体的に何をやるかは専門課程の受講者が主体 的に決めていきます。7月中旬にチームが編成され、フィールドと課題につい て概況が把握され、夏休み明けの9月から準備をし、10月からの5週間(フ ィリピンで実施されるものは2週間)はフルタイムで現地調査、集計・分析、 現地中間報告、まとめ(報告書作成)、と駆け抜けます。 以前に比較すると、時間の使い方はうまくなり、合理的に進めることが多くな ったような気がしますが、それでも方向性や到達目標に関する議論では今でも 白熱します。この熱い議論を通じて、修了後も貴重なネットワークが形成され ているようです。  最近の課題を下にご紹介しますが、「合臨」を必修とする分野の受講者数が 減少しており、チーム数も少数、「多分野」専門職によるチーム編成も難しく なっています。 公衆衛生関連の現場で仕事をされている皆さま、今度はフィールドとして科学 院の「合臨」を支援していただけませんか。日頃抱えている課題を、「合臨」 のプログラムを通じて、一緒に考えてみるのもよいかもしれません。ぜひご連 絡ください。 平成17年度(3課題、内1つは国際保健分野) *ホームレス地域生活移行支援事業における健康に焦点を当てた生活支援に関  する取組み *「患者の声」を地域医療の質の向上に反映させるために *さいたま市在住のフィリピン人既婚女性が直面している問題 平成18年度(2課題、内1つは国際保健分野) *都内医療機関における医療廃棄物処理の実態調査−医療廃棄物の適正処理の  ために− *フィリピン国の第1次保健医療施設における人的資源に関する課題について 平成19年度(2課題、内1つは国際保健分野) *生活保護を受けている一人暮らし高齢者の社会との関わりの現状と支援に関  する一考察 *フィリピン国2都市の保健局における助産婦の訓練ニーズについて                 (合同臨地訓練運営委員会 鈴木晃) ----------------------------------------------------------------------- ○海外合同臨地訓練      国立保健医療科学院専門課程「国際保健分野」の研修期間が1年間となって から今年度で4年目を迎えている。このコ-スの授業、演習は、英語で行われて いる。合同臨地訓練(合臨)は「国際保健分野」のひとつの科目であり、2005 年までは国内で行われていた。しかしながら、国内で英語をコミュニケ−ショ ンの手段としたフィ−ルドの確保が困難になり、2006年からは、フィリピン大 学公衆衛生大学院の協力のもとフィリピンで合臨が実施されている。  海外合臨は、ひとつのチームとして国際保健分野の人材に必要とされる資質 の向上に資することを目的としている。この合臨の学習獲得目標の領域を@チ −ムによる学習、Aプロセス指向、Bファシリテ−ション技術、Cチ−ムワ− クの醸成、Dリ−ダ−シップの発揮、Eコミュニケ−ション技術としている。 海外合臨は、日本人も含め異なった国と職種の研修生から構成されたチ−ムに よる問題指向型学習のアプロ−チを用いて実施されている。今年度のチ−ムの 到達目標は、「フィリピン国二都市の保健局における助産師の訓練ニ−ズにつ いて」という課題を設定し、この課題について現地で調査を行い調査報告書を まとめることである。そして、これらの調査結果と提言に基づきCHO(City Health Office)の関係者と研修生の間で情報の共有と意見交換を行う報告会を 催すことであった。  このプログラムは、国内での準備期間(2週間)とフィリピンにおける臨地 実習(2週間)の合計4週間となっている。国内での準備期間においては、海 外合同臨地訓練の経緯と目的について研修生に説明し、特に、上記に掲げた学 習目標を獲得するため合臨への積極的な参加を促している。また、この合臨の 成果品である報告書の作成とその結果と提言に基づく報告会の開催と同時に、 海外合臨を通して問題解決に至るプロセスを重視している。このことにより、 「何を」という目的ばかりでなく、「どのように」というプロセスを学ぶこと で将来遭遇するだろう同様な問題を解決するのに役立つことが期待できると思 われる。また、実践的な問題解決に至るプロセスの思考とチ−ムとして目的を 達成するための解を選択するプロセスを学習する機会が提供できているのでは ないかと考える。                    (人材育成部 綿引信義) -------------------------------------------------------------------- 発行 :国立保健医療科学院同窓会